SDGsはますます身近なものに、進化するメーカーの取り組み
消費者の意識と行動の間にある隔たり
ニッセイ基礎研究所が実施した「第8回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」(調査時期:2022年3月23日~29日、調査対象:全国に住む20~74歳、インターネット調査、有効回答2584)によると、「日常生活におけるサステナビリティを意識した消費行動」(複数回答)として、「買い物の時はエコバッグを持参するようにしている」「リサイクル可能なゴミを分別して出している」「洗剤やシャンプーなどは詰め替え製品を買うようにしている」といった回答が上位にきている(グラフ参照)。
こうした消費者の行動を確かめようという取り組みが、流通小売業の最前線の場で行われ始めている。
凸版印刷は、22年9月1日から11月30日にかけて東京都内のイトーヨーカドー6店舗で、シャンプーや洗剤などの日用品詰め替えパッケージの店頭回収を行う実証実験「サステナブルGO!GO!プロジェクト」を実施。店舗の回収BOXから回収したパッケージの再生テストも行った。
イオンリテールはリサイクル資源から再製品化する技術をもつJEPLAN(ジェプラン)と連携し、10月28日から11月6日までの10日間、「イオン」「イオンスタイル」約280店舗で、顧客が使わなくなった衣料品全般と鞄の回収を行い、新たな衣料品や資源として生まれ変わらせた。
ただ、世の中全体で見たときに、サステナブルな行動がどこまで実現できているかといえば、「まだまだ」だ。
先ほどの調査結果をまとめたニッセイ基礎研究所のレポート「サステナビリティに関する意識と消費行動」では、現状での結論として「サステナブルに対する(消費者の)意識の高さと行動には隔たりがあり、その要因として、消費者のサステナブル意識を投影できるような製品やサービスの種類が少ないことがあげられる」とまとめている。
つまり、サステナブルを実体験する場として、もっとも身近な消費の入り口である、流通小売業の店頭や売場の重要性がますます高まってくるということだろう。