調味料をドリンクに!ミツカン「ぽん酢サワー」誕生とヒットの理由

笹間聖子
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ぽん酢サワーの聖地をめざして

 ファンのあと押しにより、酒場で一定の市民権を得た「ぽん酢サワー」。今、さらにそのB to B戦略を強化している。その一環として22年から実施しているのが、荻窪、阿佐ヶ谷など、大衆酒場の多い飲食店街とのコラボレーションだ。イベントに協賛するほか、界隈の飲食店でグッズを配布することで、「聖地化」を狙っているという。

 「エリアを絞ることで“大衆酒場にあるお酒”というブランディングをすると共に、知った方が他の店に広めてくれる循環が生まれている。数珠つなぎの糸口を作り続け、浅草にある『ホッピー通り』のように象徴的なエリアに育てたい。そうすれば、『あそこに行けばぽん酢サワーが飲める』というタッチポイントになり、より盛り上げられる」と佐藤氏。

 コラボレーションは首都圏を中心に展開しており、23年からは大阪・新梅田にも拡大。今後は他の居酒屋集積エリアでの展開も視野に入れている。一方でグッズは、「ハンズ」や「ロフト」など大型雑貨店に不定期でポップアップ出店。こちらの狙いは、大衆酒場にはあまり訪れない、情報感度が高い若年層への認知拡大だ。佐藤氏は、「商品をただ置くのではなく、新しいものを発見した驚きや楽しさなど、体験価値を生み出せる場所でのPRに注力している」と強調する。

 現在の目標は5年後、設置店数1万店。全国の下町酒場で愛されるドリンクをめざしている。

酒類メーカーとのタッグで「サワー缶」も

 ミツカンはこれまでにローソンとタッグを組み、缶チューハイの「ぽん酢サワー」を発売した実績を持つ。 「ありがたいことに酒類メーカーからぽん酢サワー缶や素を作りたいという問い合わせを複数いただいている」と佐藤氏。さらに「宅飲みは、これからファンを拡大するにあたって、絶対に通らないとならない道だと思っているため、しっかりと取り組んでいきたい」と未来を見据えた。

 

 

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