コロナの逆風でも耐え続けた、際コーポレーション中島武代表の商売哲学
連結売上高203億円(2022年10月期)、従業員数1123人、「紅虎餃子房」や「万豚記」「タイガー」など326店舗を展開する際コーポレーションの創業者かつリーダーが中島武(75)さんだ。
有名企業のトップになっても町中華のオヤジ
実は中島さんとは、取材とはまったく関係なく1人の客としてお会いしたことがある。
出張帰りにたまたま立ち寄った中華料理店「紅虎」で案内されるがままにカウンター席に着くと、厨房の中にはでっぷりとした強面の偉丈夫の姿があり、従業員に忙しそうに指示を出していた。
「さて、どこかでみた顔だな?」と記憶回路を辿ってみれば、その方こそが中島武さんだった。
料理が出てくるまで、オープンキッチンの中の中島さんを観察していた。7人ほどの従業員が所狭しと働く中で巨漢を効率良く動かし、実際に自分でつくり、味見して、率先垂範指示を出す中島さんの姿があった。
この規模の企業のトップが町中華のオヤジのように働き回っている姿は、なかなかの感激ものだったことを覚えている。
料理が出され、食べていると、中島さんがカウンターごしに声を掛けてきた。できる限り、お客と会話するのが中島流らしかった。
「量は多いけど、おいしいでしょ?」。
私は、「ええ」と答えると同時に、以前読んだことがある、中島さんの著作『ハングリー』(講談社刊:2004年)が面白かったことを伝えた。
すると中島さんは、興味を持ってくれたようで、「あそこに書いてあることは僕の人生の半分ほど。本当はもっともっとすごいんだよ」とニヤリと笑った。
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