コープさっぽろDX奮闘記 売上3000億企業のデジタル革命への挑戦

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クラウドだからこそできるムダのない資料のつくり方

 コープさっぽろではカレンダー(スケジューラー)に会議資料のリンクが貼ってあり、それを見て会議を始める。ポイントはファイルサーバのどこに資料が入っているのか誰も知らない、知る必要がない。ファイルサーバに置くと、探す時間がかかり、メール添付時も誤植や更新事項が見つかり再送するなど、手間がかかる。コープさっぽろではフォルダ分けはしないで、Googleドライブに挙げる。リンクが出るためスケジューラーに貼る。ドキュメントは常に最新版になっている。

カレンダーに資料のリンクを貼り付け
カレンダーに資料のリンクを貼り付け

 会議中にファイルを更新するので、社内ドキュメントは確定版を作らずに最新版を置く。資料の作り方も上司からの資料作成の依頼後、誰かが白紙のドキュメントのリンクを共有する。上司はオンライン上で会議の合間などに見ることができ、コメントのやり取りも随時できるため、やり直しや手戻りが減る。ゼロの状態からドキュメントを共有してコラボレーションワークを行う。紙をシステム化するのではなく、業務自体をオンライン上でやるとどうなるのだろうということを考え直して、システムを組んでいくことが大切である。

コープさっぽろのデジタル化の方針とロードマップ

 アナログをやめて全員がデジタルに行くということではない。お客様にはアナログからデジタルまで幅のあるスケールでサービスを提供するが、社内はデジタル化を推し進める。

 22年度の主要テーマは、店舗業務における「賞味期限POSアラート」や宅配の「ルーティング最適化」、バックオフィスでの「経費・支払業務の改善(不正検知)」などで、AIの活用でかかる経費は月額数万円。23年度は「ノンプログラミングでシステム導入」に力を入れる。各事業部門でできるよう、大研修大会を開き使い方を勉強する。また、業務をITで自動化して業務自体をなくす、「オートマチックシフト」も進めて行く。

 コープさっぽろの「システムアーキテクチャ」について説明する。ステップ1では、ネットワーク、デバイス、セキュリティなど、すべての「テクノロジーインフラを整備」した。PCも配布して、セキュリティ対策も行った。PPAP(パスワード付きzipによってファイルをメール送信する方式)への対策では、知らないドメインからの暗号化付き添付ファイルは受けないよう制御をかけている。ステップ2の「コミュニケーションインフラの整備」では、SlackやGoogleWorkspaceの導入を完了している。ステップ3の「アプリケーションインフラの整備」とステップ4の「アプリケーションシステムの整備」は、現在、進行中。

システムアーキテクチャのステップ
システムアーキテクチャのステップ

今はSlackの導入など、それほどお金をかけなくてもDXはできると考えている。詳しくは私の書籍やYouTubeを見ていただきたい。「今日より明日の方がよい未来、よい企業になり、よいサービスを提供している」という所に向かって、ともに一歩一歩進んでいきましょう。

※このレポートは2022年11月29日に配信した「DCSオンラインカンファレンス」の講演内容をダイヤモンド・リテイルメディア流通マーケティング局がまとめたものです。

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