第123回 「営業時間統一」という常識打破に向け、SCに求められる対応とは
休業店舗を想定した設計が必要
上記の通り、テナントごとに個別の営業時間や休業日を実施する場合、それを前提にした設計や運営管理方針を予め策定しなければならない。
最もシンプルな方法は、店舗区画を路面店のように外部からの出入りを自由にする外付け店舗とすることだ。テナントごとに開閉店を行い、セキュリティもテナントごとにコントロールできるようにする。また、共用トイレを長時間開けなくても済むように、各店舗にトイレを用意することも必要であり、客動線も他店の前を通らないような工夫も必要である。
そして、休業店舗が発生しても美観上、閉鎖的な空間の発生やセキュリティ上のリスクを回避するような設計が必要である。
求められる「SCの定義への挑戦」
この店舗ごとに営業時間を設定するうえで大切なのは、SCの経営側の意思である。これまでのテナント売上高前年比重視のSC定義を尊重するのであれば、不統一な営業(運営)の選択はなく、ハンズオンの経営を志向すべきである。
一方で、店舗の営業時間をフレキシブルにするのであれば、HPなどの媒体のメンテナンス、休業中のセキュリティ、集合体としての協調性低下など、SCの運営管理側には負担が生じる。したがって、フレキシブルな営業時間への対応は、「テナントに言われたから」などの安易な気持ちではなく、「これまでのSCの定義に挑戦する」くらいの気概を持って設計や運営管理体制に臨むことが最も大切なことである。
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