青果部門が迎える新局面……安定供給と差別化のカギは、小売起点の流通改革!
直売所ブームが青果部門の脅威に
青果の流通・販売に関してはもう1つ、注目すべきトピックがある。全国各地に存在する農産物直売所の人気ぶりだ。
直売所では、地元の新鮮な野菜や果物を「直売」ならではの手頃な価格で提供し、多くの消費者から支持を集めている。その中には、一般的なSMよりもはるかに広域から集客し、観光スポットの1つとなっている直売所もある。
本特集で取材した農産物直売所「しゅしゅえっとまるしぇ」(秋田県大仙市)も、そんな繁盛店の1つだ。JA秋田おばこ(秋田県/齊藤武志代表理事組合長)が運営する同店の24年度の来店者数実績は約23万7000人、施設全体の売上高は4億円を超える。
農林水産省の「令和5年度6次産業化総合調査結果」によると、令和5年度における全国の農産物直売所の年間総販売(売上)金額は、対前年度比3.5%増の1兆1264億円。販売力・集客力の高い直売所は、SMの青果部門にとって今や直接競合する存在になっているといえる。塩原氏は「直売所ブームはこれからもさらに盛んになり、SMの青果部門は早急に対策を講じる必要がある」と指摘する。
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このように昨今、SMの青果部門では、消費者の求める商品をつくり育てていくことに加え、供給を維持するための川上支援といった取り組みを加速させている。
全国農業協同組合連合会(JA全農)でチーフオフィサーを務める戸井和久氏は「生産と販売の間にある物理的な距離を、関係性の構築によってどのように縮めるかが重要だ」とし、「生産地に足を運び、どういう工夫や苦労があるのかを実体験として知ることで、それが結果的に売場での価値訴求にもつながってくる」と提言する。
消費者と生産者それぞれの“リアル”に寄り添い、自部門を起点に青果流通に変革を起こす──。青果を取り巻く環境が急変化する中、SMの青果部門が担う役割もまた、大きく変わろうとしている。
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