青果部門が迎える新局面……安定供給と差別化のカギは、小売起点の流通改革!
SMに突きつけられるMD再構築の必要性
こうした厳しい外部環境の中、食品スーパー(SM)の青果部門は、安定供給と収益確保をいかに実現するかという大きな課題に直面している。
そもそも、従来のSMの青果部門は価格を前面に出して集客を図るという戦略が一般的だった。しかし、昨今の相場高が影響し、青果部門ではこれまでと同じような水準で価格を打ち出すことができなくなった。
とくに、24年夏以降は天候不順や物流混乱が重なり、これまで構築してきた年間計画型の商品政策(MD)、いわゆる「52週MD」が機能しなくなりつつある。販促と仕入れのタイミングがずれ、計画どおりの価格や数量を確保できないケースが増えているためだ。
たとえば、山形県では24年夏の異常高温でサクランボの産地に高温障害が起き、規格外品となってしまう「双子果」や、高温によって軟化が進む「うるみ果」が大量に発生し、記録的な不作となった。
さらに25年も、4月中旬の強風や降雨で花粉を運ぶミツバチなどの活動が鈍く受粉が進まなかったことから、収穫量は平年より20~28%少なくなる見込みだ。サクランボのような高単価かつ旬を打ち出せる果物の収穫量減少は、青果部門の収益に与える影響がとくに大きい。
そしてこうした供給の不安定は価格変動を引き起こし、SMにとっては値付けをはじめ販促施策の決定をより困難にしている。相場が上がったときに売価を据え置けば粗利益率を圧迫し、逆に売価を引き上げれば客数が落ちてしまう。価格決定を担う現場担当者は、まさにトレードオフの緊張状態にある。
こうした状況下で、SMの青果部門の要職を歴任し、現在はリテール&アグリサポートの代表を務める塩原淳男氏は、「SMの青果部門を再構築する必要性がある」と話す。
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