米アマゾンが従業員の時給を最大2500円に大幅値上げ、10万円超の入社一時金を用意する理由は?

小久保 重信(ニューズフロント記者)
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月刊アマゾン

米アマゾン(Amazon.com)は2021年9月、米国の物流拠点で新たに12万5000人の従業員を採用すると発表した。対象職種の時給を引き上げ、一部地域では契約時に一時金3000ドル(約33万3000円:1ドル=111.1円換算)を支払う。米労働省によると、21年6月の米国求人件数は前月から約60万件増の約1010万人となり、統計を取り始めた2000年以降で最高を更新。労働市場の競争が激化する中、年末商戦に向け人員を確保し物流体制を整える構えだ。

時給2000円台にアップ 一時金3倍に

 アマゾンは21年に入ってからこれまでに発送センターや仕分センター、宅配ステーション、地域の空港ハブなど米国内で250以上の施設を新規開設。今回の声明では21年9月だけでもさらに100以上の施設をオープンする予定だと明らかにした。新たに採用する人員は、これらの施設や退職者の補充に向ける。時給は平均18.32ドル(約2040円)で、最大では22.5ドル(約2500円)になるという。

 アマゾンは21年4月に米国の従業員50万人以上の時給を最大で3ドル(約330円)引き上げると明らかにしたばかり。同5月には米国とカナダの物流施設で7万5000人を新規雇用すると発表した。この時、入社時一時金は最大1000ドル(約11万1000円)としていたが、今回はその3倍を用意。米労働市場の逼迫を背景に待遇を改善する。

米2位の雇用主、オフィス職も積極採用

 アマゾンは20年、世界で50万人を新規採用した。世界の正社員数は21年6月末時点で133万5000人(期間従業員を除く)。米国では小売大手ウォルマートに次ぐ第2位の雇用主となった。アマゾンは翌日・当日配送の拡大に伴い物流施設の新規開設を着々と進めている。新規採用がこのペースで推移すれば、世界従業員数はあと数年でウォルマートを上回る可能性があると米「ウォールストリート・ジャーナル」紙は報じている。

 同社はオフィス職の採用も積極的に進めている。毎年9月に米国で大規模な就職説明会を開催しているが、21年は北米のほか欧州や日本などのアジアでオンラインの採用フェアを開催。計100万人以上の応募があった。さらに技術者などを米国で4万人を雇用するほか、インドやドイツ、日本などでも採用し、計5万5000人を雇う予定だ。

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