コロナ禍で会員急増!フードロス解消サイト「クラダシ」がECからリアルへ、販路拡大の背景とは
リアルでの販売網を展開する理由は?
14年の創業以来、フードロスを解消する社会貢献型ショッピングサイトを確立し、順調な成長を果たしているクラダシ。関藤氏がいま見据えているのが、意外にもリアルでの販売網の展開だ。
21年9月に東京ソラマチで開催されたSDGsイベント期間中に設置されたポップアップショップ「ecoselect POPUP SHOP~ゴミとサンゴとわたしたち~」。その一角で、クラダシが販売する缶詰やお菓子などの食品や化粧品が並んだ。
「ショップを企画・運営するドリームパートナーズ社の、海の環境保護を訴えるメッセージに賛同し、商品を置かせていただきました。フードロス問題への認知を広げるため、パネル展示も行いました」
主軸のEC事業が好調なようにみえるが、このタイミングでリアルでの販路を模索する背景にはどんな事業課題があるのだろうか。そのことを問うと、「いえ、事業課題という点ではどうしてもリアル販売をやらなければならない理由はありません」と関藤氏は答える。
「当社の事業課題だけを考えるのであれば、ECの会員数を増やすことに注力したほうがいい。でも、事業課題ではなく社会課題としてとらえると、フードロス問題を一人でも多くの人に知ってもらわなければなりません。そのためにはKURADASHIを知らない層、サイトを訪れない層にもリーチするための手段を考える必要があるのです」
SDGsの目標の一つ「12 つかう責任つくる責任」のターゲット12.3は、次のように定められている。
<2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。>
そのターゲットの達成を考えると、今のEC事業だけでは間に合わない。より多くの人にフードロス問題を知ってもらうチャネルが必要だ――それが、関藤氏の言う「社会課題」なのだ。
「フードロスの問題を訴求するためのチャネルは、多いに越したことはありません。そのチャネルのひとつがリアル、ということですね。今回の東京ソラマチでのイベント出店でも、お客様の反応など様々なフィードバックが得られ、テストマーケティングとしてもいい機会になりました」