オートミールで市場拡大に挑戦独創性の高い商品でシェア獲得をめざす=日清シスコ・浅井社長インタビュー
2021年4月、日清シスコ(東京都)の新社長に就任した浅井雅司氏。日清食品で培った営業力を強みに、早くもスピード感あふれる経営手腕を発揮している。総合シリアルメーカーとして今後の成長戦略をどう描いているのか。先頃発売したオートミールの新商品を中心に、シリアル市場へのチャレンジについて聞いた。
コロナ禍でシリアルが好調、売上・利益ともに過去最高を達成
──コロナ禍ではシリアル市場が好調のようですが、まずは直近の業績について聞かせてください。
浅井 2020年3月に全国一斉臨時休校が実施されたのを機に、まず子供を中心に喫食されている「シスコーン」が動きました。巣ごもり生活で内食機会が増えたことで、栄養バランスや簡便性、保存性などに優れたシリアルの価値が再認識されたのです。その後、4月に最初の緊急事態宣言が発出されると、今度は大人を中心に喫食されている「ごろっとグラノーラ」が動きました。そこで、前任の豊留(昭浩氏、現在は明星食品代表取締役社長)は「ごろっとグラノーラ」の増産を実施。こうした取り組みの結果、年間では売上、利益ともに過去最高の実績を収めることができました。
──コロナ禍を追い風に、市場の動向にいち早く対応したことが業績好調につながったのですね。
浅井 ええ。今年はそうした好調の裏返しの年なので、厳しくなることは覚悟していたのですが、営業が頑張ってくれたこともあり、第1四半期を終えた時点では前年を上回って推移しています。今後もこの調子で継続できるように、販売構成を工夫したり、新商品を投入したりするなどして、対応していく考えです。
菓子カテゴリーは、当社に限らずどこの菓子メーカーも厳しいですね。リモートワークが進んだことで、オフィス需要の高かったチョコレートやガムが振るわず、“コロナ太り”の影響もあります。
幸い、当社は菓子メーカーでありますが、現在はシリアルの販売規模のほうが大きい「総合シリアルメーカー」でもあります。販売好調な「ごろっとグラノーラ」が、とくに業績を強く支えてくれています。
とはいえ、シリアルは嗜好性の強い食品なので、コロナが収束して外食が復活すれば、一転して厳しい状況になりかねません。そのためにもスピード感をもっていろいろなアイデアをどんどん出していかなければならないと、常に危機感を持っています。