オートミールで市場拡大に挑戦独創性の高い商品でシェア獲得をめざす=日清シスコ・浅井社長インタビュー

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:室作幸江
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これまでにない“味付き”オートミールの新商品を発売

──今期(22年3月期)のマーケティング戦略についてお聞かせください。

浅井 外せないキーワードは、商品を通じて、お客さまに健康になってもらいたいという思いを込めた「Well-being(ウェルビーイング)」という言葉です。Well-beingというのは、体だけでなく心の健やかさも含まれます。心も体も満たされる商品という点でもシリアルは注目度が高く、今後も注力していきたいと考えています。

 なかでも今期はオートミールですね。最近、有名人やランナー、ヨガを行っている人たちがSNSで取り上げたことで話題になっています。若い女性からはダイエットに適した食材として認知され、火が付きました。当社調べによると、市場は現在約45億円でまだその規模は小さいのですが、伸び率がすごい。そんな期待感のある市場に当社もついに参入しました。

──この9月にオートミールの新商品を発売しました。

浅井 はい。オートミールは流行っているけども、まだ大多数の人が試したことがなく、「どうやって食べるの? 」「おいしいの? 」「続けられるのか?」などという疑問を抱えている状態です。そこで今回新発売したのが、“味付き”のオートミールとなる「おいしいオートミール トマトクリームリゾット風」と「おいしいオートミール チーズクリームリゾット風」の2品です。味のイメージができるなら、初めての人もトライアルしやすいはず。まさに間口を広げるためのオートミール入門商品です。

 このほか、シリアルの製造技術を生かしたフレーク状のオートミールとして「おいしいオートミール オートミールフレーク」や、プレーンタイプのオートミールで栄養を強化した「おいしいオートミール」も同時発売しました。これらを「日清シスコのホットシリアル」シリーズとして展開していく考えです。そのためのプロモーションも用意しており、消費者の認知・共感・体験を後押ししていきます。「木を育てるというより森を育てる」というようなイメージでオートミールをじっくりと育成し、最終的には現在約45億円の市場を100億円まで拡大していきたいですね。

──最後に、トップとしてのミッションをお聞かせください。

浅井 「何事もスピード感を上げて取り組んでいくこと」です。私自身が営業出身ということもあり、とくに当社の営業部門を変えていきたいと考えています。それには今以上に自らが主体的に提案をしていくことが大事。よく言っているのが「カテゴリーから飛び出せ」ということです。シリアルの売場はたいてい3尺棚2本で、この中で棚を取っていくのはなかなか難しいものです。だからこそ、他のカテゴリーとコラボをしていろいろな売場へ飛びだそうと発破を掛けています。その点、オートミールはかなりの種類の食材と関連販売ができるので、今後の可能性が広がります。

 こんなふうにいつも何か「ごちゃごちゃ」考えている社長でありたいですね(笑)。そのほうがきっと社員も楽しく仕事に取り組めるのではないでしょうか。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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