オートミールで市場拡大に挑戦独創性の高い商品でシェア獲得をめざす=日清シスコ・浅井社長インタビュー

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:室作幸江
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若い世代を理解し、横で連携し合う組織へ

──今年4月に新社長に就任しましたが、この半年を振り返っていかがでしょうか。

浅井 社長に就任して見えてきたのは、日清シスコという会社はトップダウン型の縦割り組織の傾向が強い、ということでした。もちろん、それにはいい面もあります。たとえば、先述のコロナ禍での迅速な経営判断とその実現は、トップダウン型だからこそスムーズに対応できたといえるでしょう。

 しかしながら、これからの時代はそれでは難しい面もあると考えています。たとえば、営業、生産、マーケティング、開発の4部門がそれぞれ別々に動いていては、どんなによいものをつくろうという思いがあっても、うまくいかないでしょう。4部門が連携し合うことで、いろいろなアイデアが生まれ、お客さまに満足していただける、本当によい商品が生まれるのではないでしょうか。

 そこで縦割りの組織を変えようと、まさに一歩を踏み出したところです。その1つが部門横断型のプロジェクトチームの立ち上げです。公募制にしたのですが、その1つに、「物流から商品を考える」という異色のチームも出てきて今後が楽しみです。理想は、主体性のあるチームがいくつも動いているという活気ある組織。そうなれば、菓子カテゴリーにおいても突破口が見えてくるのではないかと思っています。

──トップダウン型からボトムアップ型組織への移行ですね。

浅井 そうですね。当社は社員の平均年齢が比較的若く、若い人材をいかに引き上げるかが課題です。管理職のコーチング能力にかかっているといっても過言ではありません。若い世代と管理職では価値観がまったく違うだけに、彼らをどう理解していくかを常に考えています。私自身56歳で、以前はSNSに対して抵抗がありましたが、若い世代を理解するためにTwitterもInstagramもすべて入れました(笑)。

 さらに、企業向けSNSのMicrosoft Yammerを社内に導入しました。社員一人ひとりの発信を社長である私がダイレクトに知ることができるうえ、「いいね」をすることができます。承認欲求が満たされれば、やる気も出るでしょう。また、ここに各部署がいろいろな情報をのせることで、部門の枠を超えてつながり合うことが可能になります。

 導入当初、社員は遠慮がちでしたが、最近はずいぶん盛り上がってきました。先日も30代の社員から「私たちの言語を導入してくださってありがとうございます」というメッセージをもらいました。若い世代は直接のコミュニケーションよりもSNSで会話をするのが得意であり、意思を表明しやすい。そこはきちんと理解しなければならないと考えています。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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