食品宅配のスタンダードが変わる!? セブン-イレブンが全国展開を進める 「ネットコンビニ」の威力
物流会社との連携が
サービス構築のポイント
食品宅配に乗り出すコンビニ他社の動きでは、ローソン(東京都)が外部のフードデリバリープラットフォームとの連携により商品の配送サービスを一気に広げている。
同社は19年に国内コンビニで初めて「ウーバーイーツ(Uber Eats)」と提携。さらに「フードパンダ(foodpanda)」や「ウォルト(Wolt)」とも手を組み、22年2月期末までにサービス導入店を3000店舗にまで拡大する計画だ。
ただし、ローソンの商品宅配サービスの取扱品目数は370ほどとセブン-イレブンと比較すると限定的。「からあげクン」などの店内調理のフライドフーズや、牛乳などの購入頻度の高い日配品、トイレットペーパーといった日用品、酒類の売上高構成比が高いという。「ネットコンビニ」は利用動向でどのような違いが出てくるかにも注目したい。
一方、可能な限り自前での食品宅配サービスの構築をめざすセブン-イレブンだが、商品の配送については17年に業務提携契約を締結したセイノーホールディングス(岐阜県)の子会社であるGENie(東京都)が担う。
銀行ATMを代表例にこれまで内製化による新規サービスの提供を得意としてきたセブン-イレブンが同社と連携し、成長していけるかは「ネットコンビニ」成功の大きなポイントになる。サービスエリアを全国に広げるにあたっては、他の物流会社との連携も必要になってくるだろう。
食品宅配市場の開拓に本腰を入れて取り組み始めたセブン-イレブン。「商品を持ってきてくれる」という新しい利便性がコンビニのスタンダードになる日はそう遠くなさそうだ。
田矢信二(たや・しんじ)
近畿大学商経学部卒業。幼少期は実家の小さなおもちゃ屋で商売を学ぶ。その後、セブン-イレブン・ジャパン、ローソンを経て、コンサルタント会社でも勤務。コンビニの商品や売場全般に詳しく、お店に訪れ消費者目線で買い物して試食する毎日。本部社員として働いた現場経験を活かし、コンビニに関する講演・セミナーからテレビ・ラジオ番組などにも出演。コンビニをテーマにした記事への取材なども。アジア企業へのコンビニをテーマにした企業講演の実績も多数。主な著書に『セブン-イレブンで働くとどうして「売れる人」になれるんですか?』『ローソン流アルバイトが「商売人」に育つ勉強会』(以上、トランスワールドジャパン)がある