食品宅配のスタンダードが変わる!? セブン-イレブンが全国展開を進める 「ネットコンビニ」の威力
コロナ禍での売上減と
フードデリバリー市場の拡大
現在、コロナ禍で多くの食品小売企業が宅配サービスを強化している。
そうしたなかセブン-イレブンは、2万店を超すコンビニの店舗網を生かしたこれまでにないサービスを生み出すねらいだ。これは、常に時代の変化に応じて新しい価値を提供してきたコンビニならではの試みと言える。
また、コロナ禍では外出自粛生活やリモートワークの普及などにより、近年とくに都心部やオフィス街への出店を強化してきたコンビニ業態は苦戦を強いられている。コンビニ王者のセブン-イレブンであっても20年度の立地別・既存店売上高伸長率は、住宅・郊外立地が対前期比100.3%だったのに対してオフィス立地は同88.9%と大きく減少しており、こうした売上減をカバーする早急な対応が求められている。
さらにフードデリバリー市場は5000億円を超えて巣ごもり需要でさらに市場が拡大。弁当や総菜を扱うコンビニとしてもこの市場を見過ごせないのであろう。
「ネットコンビニ」の最大の武器は、注文後最短30分で商品が届くというスピードにある。子育て中や共働きの家庭、単身のビジネスパーソンなど忙しい人にとってこの魅力は大きいだろう。
また、身近なセブン-イレブンの宅配サービスであれば安心感があり、利用を始めるにあたっての心理的障壁は比較的低いと想定される。さらに、セブン&アイのプライベートブランド(PB)商品「セブンプレミアム」や中食商品など、セブン-イレブンの強力な商品力は利用動機につながりそうだ。
さらに「ネットコンビ二」では、同じセブン&アイグループの企業の商品も届けられるようにする計画で、すでにテスト段階にあるという。品揃えが広がればさらに競争力を発揮するだろう。
そのほか、配送料が300円で月に15日利用しても月額は計4500円。消費者に身近なコンビニがこうした手の届きやすい価格帯で宅配サービスを提供し始めることは、おうち時間や家族との時間を充実させるために「時間を買う」といった価値観をいっそう浸透させていきそうだ。