成功のカギは考えない構造!シーインが塗り替えたアパレル4P戦略の 「新しい定石」とは
「中国のZARA」とも呼ばれ、急成長する謎の企業として注目を集めるSHEIN(シーイン)。その成功のカギはどこにあるのか。さまざまなメディアで断片的に伝えられているが、体系立てて考察をしたものは少ない。そこで複数のメディアで言及された情報と、自ら利用し、利用者の中に飛び込んで得た情報を合わせて、成功の構造を考察していきたい。
シーインの成功モデルはどのように構築されたか
結論から言うと、通常のアパレル企業が最も力を入れる商品企画において、「考えることを排除した」ことが、シーインの成功につながっている。具体的には、一度作成したデザインに対し、サンプルを何度も作りながら繰り返し最適解を考える作業を省略しているのである。
商品数、市場などを自社内で絞り込むプロセスを徹底的に排除し、大量の商品を最短速度で展開することに集中するとともに流通、販促経路の構築に圧倒的なリソースを割いている。そのため消費者にしてみれば、圧倒的低価格であるがゆえに、複数の商品で迷った時に、すべて購入してしまうことが可能なのである。
次にシーインの競争優位を4P(Product/Price/Place/Promotion)に分け、優位性の根拠が模倣困難な技術、環境にあるのか、他社も理論上模倣可能なのかについて考察していく。シーインの優位性を4Pの観点で挙げると、以下のとおりとなる。
Product(商品):圧倒的な商品点数、SKUの数、商品企画から市場投入までの日数
Price(価格):低価格&高コストパフォーマンス
Place(流通網):220の国・地域への展開、中東地区の独自物流網、物流追跡能力
Promotion(広告宣伝):小~中規模インフルエンサー(KOC:Key OpinionCustomer)を大量に活用したSNSマーケティング
商品力を技術、環境の力によって実現し、流通、販促の競争力を着眼点と施策の徹底によって実現していることがよわかる。以下、4Pについて1つずつ解説していく。
4P観点でのシーインの優位性
Product:商品戦略
まず、毎日更新される新商品の数が平均4000前後(図表❶)と、圧倒的である。
日本国内で類似する低価格帯D2Cモデルで成功をおさめるfifth(東京都)が月間数百種類であることと比べると、200倍近くの差がある。シーインの最短3日のリードタイム、
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