ウィズコロナ時代のショッピングセンター経営27 ポストコロナがもたらす「バトンタッチ」とは

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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コロナで変わったもの、収束後も残るものとは

 “オンライン接客”なるものがコロナ禍で始まった。これまでの接客という場面をZOOMなどのオンラインソフトを使って行うものだが、やはりこれまでと同一線上であり、コロナ禍が収束すれば元のリアルな活動に戻る。

 コロナ禍によって「変わったもの」とは、コロナ禍の収束後も残るものが真に変化したものであり、コロナ禍が収束したと同時に戻るものはその場しのぎに過ぎない。

 もちろん変わることすべてが正とは言わないが少なくとも新たな価値が生まれることによって社会的に評価され顧客から利潤という形で収受できるものは変わるべきものであり変わっていく。オンライン接客にもさらなる一歩を期待したい。

次を切り拓くのは次の世代

 500日に及ぶ自粛期間を経て、今、家計には多額の資金が滞留する。コロナ禍によって職を失ったり店が閉店したり自殺者が増加したり、悲しい報道も多いが、一方で高額品が売れ夏の国内旅行の予約も好調と聞く。

 前々回の本稿で指摘したテーマ「転職の増加とオンラインネイティブ」は国民の価値観と消費者の交代が進行しているためだが、この場合の消費者とは若い世代とか中高年とか、そういった年齢や社会経験の長短で区切られた世代では無く、価値観や生活スタイルの相違であり、これまでの生産者、消費者という分類も馴染まない。

 供給側と需要側を分けたオンライン接客を行うような発想ではなく、ライブコマースにまで進化させて初めて新たな価値を生むことができる集団である。

図表1 年間消費支出の推移(二人以上の世帯)家計調査年報
図表1 年間消費支出の推移(二人以上の世帯)家計調査年報

 その集団は、過去20年の消費低迷(図表1)を作ってきた人たちとは異なった価値観を持つや人材や世代であり、ポストコロナは、彼らにバトンタッチすることではないだろうか。

 

西山貴仁
株式会社SC&パートナーズ 代表取締役

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。201511月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。岡山理科大学非常勤講師、小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、宅地建物取引士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒

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