人口減少時代、スーパーの定番手法は間尺に合わなくなる!いまやるべき3つの具体的投資とは
利益確保、差別化に有効なSPA
これから本格的な人口減少時代が到来するにあたり、SMが取るべき対策にはどういったものが考えられるだろうか。
SMとして第一は商品政策(MD)。地域、商圏のニーズに応える商品、サービスを提供することが最重要だ。今後は単に人口が減るのではなく、高齢化で年齢層・家族構成といった中身も大きく変化する。そのため健康に配慮した商品の提案も必要になる。一方、高頻度の来店をねらった生鮮食品の強化は異業態の競争においても有効である。
そのうえで、生産性の向上は必須。自動発注や電子棚割システムなどAIやIoT(モノのインターネット)も活用した自動化、また省力化のアプローチは、人材確保のほか、利益を確保するという面でも実践すべきだ。
利益確保、そして差別化という点では、SPA(製造小売)化も忘れてはならない。ある経営トップは「競争が激化すれば最後に勝敗を分けるのはプライベートブランド(PB)」と話していた。現在、有力DgS企業がPBに力を入れているのは「競争の最終決戦を想定しているから」という指摘もある。SMもこの視点を持つべきだろう。
生産性向上に関連し働き方改革も進めなければならない。労働条件の改善だけでなく、長期的に働ける環境の整備は採用にあたっての大きな強みになる。
いずれも対策としては目新しいものはないと感じる人も多いだろう。しかし以前から可能なことでも、これまで手付かずのまま放置されていた分野も多いはずだ。一例はインターネットを使った遠隔地間の意思疎通。かつて導入例は少なかったが、コロナ禍で対応が急務となり、リモート会議や商談が一気に広まった。
どの対策も一定のコストを要する。しかしコロナ禍で内食需要が高まり、SMが潤っている時期こそ、これからやってくる人口減少時代に向けた戦略的なアクション、投資を行う好機と前向きにとらえるべきだろう。
※注1:総務省による住民基本台帳人口推計
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html
※注2:国立社会保障・人口問題研究所がまとめた2017年推計
http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp
※注3:東京都による人口推計
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basicplan/pdf/1_siryo_2.pdf
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