佐藤勝人の「本当に強い店」づくり#1 「強い店」の条件とは何か 今めざすべき地域から支持される店
「地域一番店」であること
故・渥美俊一氏が確立した「チェーンストア理論」は皆さん当然ご存知でしょう。かいつまんで言うと、「本部に権限を集約し、標準化された均一な質のサービスを多店舗で展開するための手法」です。このチェーンストア理論によって1970〜80年代、各業界でチェーン展開が活発に行われました。そして日本全国に増殖したチェーンストアが、日本人の消費意識に多大なる影響を与えたのです。
外食を例に取ってみると、今、みなさんが初めての店にふらっと入っても、そこそこおいしくて手頃な値段のものが食べられるのは外食チェーンのおかげです。お客に「これならあのチェーン店で牛丼を食べた方がマシだったな」と思われるような店は大小関係なく生き残れないからです。チェーン店のおかげで日本人の“平均的な品質基準”はずいぶん引き上げられました。
ただし、チェーン店はあくまで品質基準を底上げしている“標準化”された店です。商圏の中で、お客から圧倒的な支持を獲得することをめざす店ではなく、言ってしまえば1店舗は「薄く広く」、ドミナント展開による組織力でシェアを獲得することが、効率の良いチェーン店の定義だったわけです。しかし、結局お客に支持されていない店は、世の中のちょっとした変化ですぐに客離れが起こります。つまり、熱烈に支持されている「地域一番店」であることが、どんな変化にも耐えうる「強い店」の条件なのです。
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