マーケットシェアアップの鍵を握る「ブランド力総合指数」とは何か?スコアの上げ方を解説

文=大窪翔子(ニールセン・カンパニー コンシューマー・インサイト) 調査=ニールセン・カンパニー合同会社
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ブランド力総合指数SEIがマーケットシェアのカギ握る

 2020年は未曾有の1年となった。新型コロナウイルス(コロナ)の感染拡大による影響は、経済にとどまらず、人々の生活様式を大きく変容させつつある。このように社会や生活が急激に変わっていくなかで、小売業もその変化に対応し、1人でも多くの顧客に選ばれるチェーンとなること、つまりは自店のブランド力を高めることが重要課題の1つとなっている。

 そのブランド力を1つの数値で可視化したものが、「ブランド力総合指標」である。ニールセンでは、小売チェーンに特化したブランド力総合指標を「ストア・エクイティ・インデックス(以下、SEI)」と呼んでいる。このSEIスコアは、ニールセンが長年世界60カ国以上で実施してきた「ニールセン・ショッパートレンド調査」において、毎年計測しているものである。今までの計測実績から、SEIスコアと小売企業のマーケットシェアには強い相関があることがわかっており、SEIスコアが高いほどマーケットシェアも高くなる。

 裏返せば、マーケットシェアを高めるには、SEIを上げるのが1つの方法となる。今後国内人口が減少するなかで、いかにマーケットシェアを高められるかが、企業の成長と存続に欠かせない要素だ。だからこそ、SEIに注目し、高めていきたい。具体的にどうすべきか。まずSEIの構成要素を理解して、それを構成する重要項目をモニタリングし、改善していくのである。現状分析から優先順位の高い項目を選び、そこを集中的に改善するほうが効率がよい。

SEIの構成要素とSEIを上げる方法

 では、S E Iの構成要素を説明したい(図表❶参照)。SEIは、小売チェーンに対する個々の消費者の態度を基にスコアが定められる。具体的には、消費者が小売チェーンに対して、①ストアロイヤルティを感じ、②価格のプレミアム性に対する受容性が高く、③店舗立地の受容性が高いほど、SEIスコアが高くなる。

図表❶ストア・エクイティ・インデックス(SEI)の構成要素

 そしてこの「消費者の態度」に影響するのが、④ブランド認知、⑤来店検討のリストに入ること、⑥ブランドイメージ項目での評価といった「消費者の認識」となる。さらに⑥ブランドイメージの中でも、とくにSEIスコアへの貢献度の高い重要イメージ群は優先的に強化すべきポイントとなる。

 ゆえに、SEIを向上させるための具体的なアクションに落とし込む場合には、これら④⑤⑥の指標に着目し、自社の強み・弱みがあるかを探り、対応していくこととなる。SEIスコアは0~10の指標で表される。次ページ以降で掲載している各ブランドのスコアがそれだ。

 SEIスコアは3を超えると高いブランド力を有し、2を超えると中程度のブランドパワーであると考えてよい。その一方で、1を下回るとそのブランド力は弱い状態といえる。業態によっては全国だけでなく国内8地域別のSEIも掲載した。自社が強いエリアと弱いエリアを確認するのに役立ててほしい。

 今回、日本市場の調査は、食品スーパーと総合スーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストアの3業態で、サンプル数5000名超で実施した。調査時期は20年12月であり、新型コロナウイルスの第三波が全国的に本格化したさなかであった。ゆえに、すでに第一波・第二波の流行期や狭間の安定期も経験したうえで第三波を迎えていた消費者への調査であり、まさにコロナ禍での消費者の姿がとらえられていると考えられる。

 

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