伊藤忠食品20年度決算は2期連続の増益 冷食強化と物流最適化で得られる小売の恩恵とは

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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冷食専門店をオープン

 決算説明会では、22年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画「Transform2022」の取り組み状況も発表された。収益拡大に向けた基盤構築として、「デジタルサイネージ」「惣菜」「物流」の3つの重点分野で掲げた各施策を着実に進めている。

 「デジタルサイネージ」では、売場への導入による活性化を推進。メーカー・小売業双方のデジタル販促を支援し、「リテールサポート機能」を強化した。そのほか、リアルでの展示会開催が難しいなか、2112月にウェブ展示会を初開催。伊藤忠食品が出資するレシピ動画サービス「DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)」と連動した企画を中心に、オンラインならではの提案に取り組んだ。

 「惣菜」では、既存取引の強化・さらなる販路拡大に加え、液体凍結技術を活用した冷凍商品「凍眠市場」のラインアップ拡充に注力。212月には、同技術を活用した凍結機器の製造・販売を行うテクニカン(神奈川県/山田義夫社長)が運営する冷凍食品専門店「TŌMIN FROZEN」がオープンしている。同店では、畜産物や水産物などの生鮮食品のほか、チーズや漬物などの日配品、スイーツ、麺類、総菜などの調理済み食品など約500品目を取り扱っている。

テクニカンが運営する冷凍食品専門店「TŌMIN FROZEN」
テクニカンが運営する冷凍食品専門店「TŌMIN FROZEN」

 「物流」では、製・配・販で連携した取り組みを強化。214月よりメーカーとの運搬車両相互活用が一部拠点で開始されている。小売店への配送終了後に、近隣のメーカー工場から倉庫への商品輸送を行うことで、全体の車両台数を削減する考えだ。

 223月期通期の業績予測では、売上高6200億円、営業利益50億円、経常利益62億円、親会社株主に帰属する当期純利益41億円を見込む(注:22年3月期期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)などを適用するため、前期との比較なし)。引き続き中期経営計画の実現に向け、「消費者起点」での売場の活性化や製・配・販の連携による消費者への新たな価値提供などにより成長基盤の構築を推進する考えだ。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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