企業業績は「マニュアル」次第で大きく変わる! 無印良品のMUJIGRAMが他社と異なる3つの理由
店舗での生産性を向上させるためには、誰がどの店舗で作業しても同じクオリティを担保できる「業務基準書」が必要不可欠です。本連載では「マニュアル活用! 店舗経営者のための現場改善」と題して、業務基準書を活用した現場作業の改善について、実際の事例をまじえながら解説していきます。第1回目は「無印良品」のマニュアル「MUJIGRAM」の優れた点や、業務基準書作成による収益改善の事例を紹介します。
「業務基準書」とは
「業務基準書」とは、仕事の目的や手順が書いてある文書のことです。一般的にはマニュアルと呼ばれていますが、仕事の目的を明確にしたうえで、現場目線で作成することを徹底して行う点が、一般的なマニュアルとは異なると考えたため、業務基準書と名付けました。
一般的なマニュアルは、本社部門や上司、あるいは仕事のできる人が、あるべき(理想の)姿をもとに「こうあるべき」「これを守りなさい」というかたちで現場に展開されます。そのため、現場の通常業務とはかけ離れた手順となっていたり、“やらされ感”につながったりすることも少なくありません。
しかし、「現場の生産性を高める」という目的を明確にして、現場視点でマニュアルを作成すると、現場のやる気や生産性は上がるのです。その違いを明確にするために、私たちのつくるマニュアルには「業務基準書」と名付けました。
業務基準書は、良品計画(東京都/松﨑曉社長)が「無印良品」で活用している「MUJIGRAM」をベースに、大手の小売業やサービス業のマニュアルの調査結果を参考にして、サービス生産性協議会が開発しました。汎用的で、現場で使いやすく、誰でも比較的簡単に業務基準書を作れるツールを目標とし、良品計画からの出向者や大学教授、コンサルタントが知恵を出し合いました。
業務基準書のベースとなっているMUJIGRAMとは、無印良品が店舗で使用しているマニュアルのことです。そこには挨拶の仕方や陳列の仕方など、店舗に関わる仕事が事細かに書かれています。
これを教科書に、新入社員やアルバイトを教育し、どの店舗でも同じつくりで同じサービスが受けられるようにしています。そのため、顧客が無印良品に対して一貫したイメージを持つことができ、ブランド力向上に役立っています。さらに、店舗ごとに作業のやり方が統一されているため、生産性も向上します。
無印良品は土着化をテーマに各地域に合った店づくりを行っていますが、MUJIGRAMにより店舗の仕事が標準化されているからこそ、生産性を下げずに新しい取り組みにチャレンジできるのです。
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