暗闇フィットネス®︎をブレークさせたFEELCYCLEのアパレルがコロナ禍でも絶好調の理由

油浅 健一
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「自分たちの世界観を伝えられるのか」だけを考える

 アイディアがないからマネをする。売れないから安くする。安くするから品質が下がる。品質が下がるから魅力がなくなる。魅力がないから購買欲がそそられない…。アパレル業界は完全に負のサイクルに入っている。そうした中で、同社は市場調査はせず、どうすれば会員に満足してもらい、自分たちの世界観を伝えられるのかだけを愚直に考え続けている。したがって、「売れ筋商品を模倣しよう」という、その発想すらない。

 スタジオ店頭での会員向けウエアの他に、セレクトショップ「DIFFERENTLY」も展開する同社のアパレル部門は着々と拡充し、いまや知る人ぞ知るブランドとして、世界のファッション界とコネクションを強めながら、コアなファンを魅了している。

 アパレル部門のトップとしてこの躍進をけん引する真木氏は「アパレル企業の多くが儲けしか考えず、売るためだけに頑張っているようにみえる。そこに自分たちのアイディアはほとんどない。そんな姿勢では一時的には売れたとしても長続きはしない」と自戒を込めて言う。実は真木氏、アパレル業界に嫌気がさし、業界から身を引く覚悟でフィットネス業態の同社に中途で入社している。それがいまや四六時中デザインのことを考える毎日だ。

 どうすれば売れるのか。市場が縮小する少子化時代に、もはやそうした発想では解にはたどり着けない。それよりもいかに、会社のポテンシャルを最大化するか。遠回りのようだが、ゴールには直結することを、同社は教えてくれる。

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