顧客最優先の姿勢を貫く!生産性向上に向けた取り組みを本格化=ユニバース 三浦 紘一 社長
総菜工場を新設、生産性向上を追求する
──ユニバースはほかのSM企業と比べても、収益性の高さが特徴です。それを実現するために、業務改善や生産性向上といった面ではどのような取り組みを進めていますか。
三浦 ユニバースの社内には、「反省文化」が根付いていると思います。研修を頻繁に行って業務や売場などのさまざまな問題点を洗い出し、改善につなげるというPDCAの考え方が浸透しています。
私は常に、「監視と観察は違う」と考えています。業務や店舗が滞りなく機能しているかを「監視」するのではなく、改善すべき点がないかを「観察」する、という意識を社員には持つように伝えています。
今後は、人時生産性を上げるということにも力を注いでいきます。AI (人工知能)やロボティクスが脚光を浴びていますが、これらの技術は近い将来、小売業にも大きな影響を与えるでしょう。生産性向上につなげるうえでも、こうした最先端の技術にも注目していきたいと思います。
──生産性向上を図るためには、適材適所での人材活用もカギになります。
三浦 17年度、とくに力を入れていきたいのは、ダイバーシティへの取り組みです。具体的には、女性の管理職を増やすこと、外国人、シニア世代の活用などが挙げられます。
まず女性管理職については、能力のある女性社員を積極的に登用して、外部からの採用もあわせて行いながら、その数を増やしていきたいと考えています。
外国人とシニア層の活用については、人手不足の問題が背景にあります。国籍や年齢といった枠を取り払い、能力と熱意のある人材を少しでも多く活用し、人手不足の解消につなげたいと思います。
──商品開発や製造の部分では、生産性向上に向けてどのような取り組みを進めていますか。
三浦 当社は現在、総菜の商品開発に力を入れています。「セブン-イレブンに負けない味の商品をつくる」という目標を掲げ、私自身も試食を繰り返しながら、商品開発に力を注いでいるところです。
そうしたなかで、17年度中に総菜の製造工場を八戸市内に新設する予定です。
これには2つの理由があって、1つは人手不足対策です。現在、総菜はすべてインストア加工の商品となっていますが、総菜工場の設置によって店舗の負担を軽減しつつ生産性向上を図るねらいです。
もう1つは、均質な商品を提供するためです。総菜については地域特性に合わせた商品開発も必要ですが、基本的にはどの店でも同じ味を提供できるようにしたいと考えています。総菜工場を活用することで、それを実現します。
とはいえ、現在店舗で行っている作業を一気に工場に託すのは難しいので、作業を工場に移しやすい商品から、段階的に移管を進めていきます。稼働開始時期については、繁忙期にトラブルがあっては困るので、お盆明けの9月頃を予定しています。
──生鮮3部門についても、プロセスセンター(PC)の開設などは考えているのでしょうか。
三浦 精肉についてはできればPCを設けたいと考えていて、検討を進めています。
ただ、課題となるのは建設コストの問題です。東北では東日本大震災の復興関連の工事がまだまだ残っていて、需要に対して建築業者の数が不足している状態です。工事費も上昇傾向にあって、設備投資がしにくくなっているのが現状です。