働きがいのある職場をつくり沿線地域との「共存共栄」をめざす=東急ストア 須田 清 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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小型店の出店強化沿線のドミナントを深耕

「SMの本来の役割は、生鮮食品をはじめ家庭料理の材料をお客さまに提供することにある」(須田社長) 「SMの本来の役割は、生鮮食品をはじめ家庭料理の材料をお客さまに提供することにある」(須田社長)。総菜と生鮮食品を並行して強化していく
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──今後の新規出店についてはどのように考えていますか。

須田 不採算・老朽化店舗の閉鎖はある程度終えたため、今後は新規出店にも注力していきます。

 現在、東急沿線にある約100駅のうち、当社が駅前に出店しているのは40駅ほどです。まだ出店の余地は十分にあると考えており、東急電鉄と連携しながら沿線内のドミナントを深耕していきます。

 しかし、今後は広い土地を確保するのはより難しくなってくるでしょう。当社はこれまで300坪タイプのSMを中心に出店してきましたが、小型店舗を数多く出していくことが出店戦略の柱になると考えています。

 たとえば、総菜とグロサリーだけを販売する店舗や、高質SM「プレッセ」の小型店など新たな業態開発も視野に入れています。

 新店については、現時点で3店舗の出店が決まっています。

 1店舗目は、今年の8月に、東急田園都市線「用賀」駅に隣接する商業・オフィス施設「世田谷ビジネススクエア」内に売場面積約75坪の小型店を開店します。小型SMのモデル店として14年4月にオープンした「東急ストアフードステーション中延店」(東京都品川区)が好調なので、そのノウハウを生かしつつビジネスパーソンの需要への対応を強化した店をめざします。

 残りの2店舗の開店は17年度になりますが、2店舗目は、東急東横・田園都市線の「渋谷」駅から徒歩7~8分ほどの東急グループが進めている再開発エリアに出店します。駅から少し離れた立地であり、店舗周辺の住民に加えて渋谷の街を行き交う人たちにどのようなサービスを提供できるのか、当社にとって新たなチャレンジとなる店舗です。社内に新しいノウハウが蓄積されますし、成功すれば駅前以外にも出店できるという自信にもつながるでしょう。

 3店舗目は、東急沿線ではなく横浜市営地下鉄線の駅に隣接する商業施設内に、年商20億円規模の標準的なSMをオープンする予定です。

──東急グループとはどのように連携していきますか。

須田 東急グループは、東急電鉄を中核企業に221社8法人(15年9月末)で構成されており、さまざまな事業を展開しています。

 そのうちの1つ「東急ベル」事業では、東急沿線を中心に、ご用聞きや家事代行サービスなどを行っています。お客さまの実際の声を聞き取るうえでも重要な役割を果たしており、時代の需要に対応して事業領域を拡大中です。

 当社は現在、東急ベルと連携してネットスーパーを展開しています。東急ストアの商品を東急ベルがお客さまの自宅まで配送するほか、東急東横線「綱島」駅の改札前に冷蔵ロッカーを設置し、お客さまがネットで注文した商品を都合のよいタイミングで受け取ることができるサービスも実験的に開始しました。

 さらに今後は、東急ストアの商品をトラックに積み込んでエリア内をまわる、移動販売ができたらと考えています。東急沿線は坂道が多く、買物後に重い荷物を持って帰るのは大変だというお客さまは少なくないはずです。高齢化が進むなか「買物弱者」と呼ばれる人はいま以上に増えるでしょう。東急グループや行政などと連携して何とか実現させたいと思います。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。

最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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