地方SMとして自主路線に回帰、基本を徹底し営業力を磨く!=近商ストア 中井 潔 社長

聞き手:下田 健司
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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店舗特性に応じた店づくりを志向

──地域に根差したSMとして、どのような店づくりを考えていますか。

中井 たとえば、高級志向のお客さまが多い地域では、こだわり商品を強化した売場づくりをする。一方、価格政策では、競合店を徹底的に調査し、購買頻度の高い商品については、他店に負けない価格を出す。これまで当社は、お客さまから「いいものはあるが高い」という印象を持たれていました。それを払拭するためにも、価格政策にも力を入れています。

 当社は現在、「近商ストア」と「ハーベス」という2つのフォーマットを展開しています。前者はレギュラーSM、後者は味・品質をより追求する高質SMを志向しています。各店舗の商圏特性はさまざまですから、近商ストアにしても、ハーベスにしても、定型のフォーマットに基づいた品揃え、売場づくりだけでは対応できません。あくまで、商圏を見て判断するようにしています。お客さまのターゲットを絞りすぎるのではなく、多くのお客さまに来ていただけるアプローチによる個店対応をめざしています。

──個店対応の具体例はありますか。

中井 近鉄「八尾」駅施設の1階にある「ハーベス近鉄八尾店」では、総菜に力を入れることで、売上を順調に伸ばしています。23時まで営業していますが、会社帰りなどに立ち寄るお客さまが多いため、21時でも総菜をつくり、売場でボリューム感を出して陳列しています。16時に加工した総菜を21時に売ると、値引き販売しなければなりませんが、21時に加工した商品は値引きする必要はありません。需要のあるときに徹底して売り込むという考え方です。結果として、ロス率も低下しつつあります。

──強化するカテゴリーや商品は商品部が判断するのですか。

中井 商品部、店舗、店舗運営を管轄する店舗本部の3者が協議しながら決めています。店長の要望を聞きながら、さらに商品部が持っている売れ筋データと重ね合わせ、適切な品揃えを模索していきます。正解はありませんが、意見を出し合い、ベストな店づくりを追求しています。

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構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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