2016年度末までに300店舗・1000億円体制へ=ビッグ・エー三浦 弘社長

聞き手:下田 健司
構成:田中 浩介
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自社物流による原価低減が強み

──低価格を実現するために、どんなことに取り組んでいますか。

三浦 薄利ながら、売上を増やすことで、利益額を積み上げていくのが当社のビジネスモデルです。まさしく薄利多売です。

 営業総利益から販管費を差し引くと営業利益になります。多くの企業は、たとえば営業利益を増やそうとした場合に、販管費を最初に削ろうとします。しかし、これでは売上も減る可能性が高くなります。

 そうではなく、まず売上を増やしていけば、販管費は変わらなくても、売上高販管費率は低下し、営業利益率は高まります。とくに当社のようなHDSにとっては、順番を間違えてはいけないと考えています。まずは多売を優先し、次に薄利を少しでも厚くするためのローコストオペレーションを追求しています。

 ローコストを実現するうえで、重要視しているのが物流です。100坪という当社標準の売場面積に合わせた物流体制を組むことで、物流コストの削減につなげています。

 当社は首都圏内4カ所に自前の物流センターを運営しています。店内の売場のゾーニングに合わせて商品を納品し、店内作業が効率化できます。また、所定の時間内に納品することで、計画的な人員配置が可能になります。

 たとえば、当社の大半の店舗は24時間営業しており、午後23時から午前2時までの間に商品が搬入されます。それに先立ち、各店では、21時からお客さま応対の合間をみて清掃を実施。22時からは商品を補充しやすくするために前出し陳列を行います。このような計画的な作業が可能なのは、時間どおりに商品が納品されるからです。

 また、仕入れ原価の低減策は、おもに計画購買がメーンになります。バイイングにおける当社のいちばんの特徴は、半年先、1年先の商品を計画的に仕入れることです。農産物の場合であれば、生産者と買い取り価格を定めて直接契約することで、生産者に安心して生産してもらえる仕組みにしています。低価格の実現は、お取引先さまとの信頼関係の上に成り立っています。

ビッグ・エー

──リミテッドアソートメント・ディスカウントストアとして品目を絞っていますが、品揃えそのものに大きな変更はありますか。

三浦 12年度から進めているのが即食性の高い商品の拡充です。100坪前後の売場面積、そして2500SKUという限られた品揃えのなかで、デリカや簡便商品を充実させることに取り組んでいます。

 ローコストを追求するためには、棚割りや品揃えを頻繁に変えるべきではないと考えてしまいがちです。しかし、少子高齢化や世帯人口の減少が進み、お客さまのライフスタイルが変化しているにもかかわらず、変更の手を加えないのは企業本位の考えでしかありません。お客さまのニーズに合ったゾーニングや品揃えにしながら、大前提となるローコストオペレーションをどこまで追求できるか。その課題に取り組んでいます。

──2500SKUのうち、プライベートブランド(PB)はどのくらいですか。

三浦 当社はPBではなく、ストアブランド(SB)と呼んでいますが、売上高全体に占める割合は20%程度です。当社のSBの特徴は、基本的に国産中心であることです。ディスカウントストアなので価格もさることながら、国産であることをしっかりと売場でアピールして販売数量を増やしていく方針です。

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