コロナ禍で最高益のマクドナルドの必然 次にめざす“感情を動かすサービス”とは
コロナ禍でも人材育成に積極投資
機能面におけるサービスの質向上を果たす一方で、同社はクルー育成にも積極投資。2020年は店舗設備も含めた人材育成に58億円を計上。コロナ禍で求められるオペレーションの浸透に惜しみなく時間とコストを割いた。その結果、78億円の営業利益を生み出し、しっかりとリターンを得ている。
新型コロナの非常事態下でも柔軟にスピーディーに施策を打ち続けた同社。サラ・カサノバHD代表取締役兼CEOは「過去50年間に築き上げてきたお客さまとの絆やブランドの価値、マクドナルドに対する社会の期待を改めて認識した年でした。これまで取り組んできた様々な施策が功を奏し、お客様の満足度の向上につながり、ビジネスとブランドにとって良い結果を残すことができました」と満足げに振り返った。
次の50年で目指すのは“感情を動かすサービス”の提供
2021年は同社の創業50周年メモリアルイヤーとなる。さらなる飛躍が期待されるが、新たな中計の発表はコロナ禍の不透明な状況を鑑み、見送られた。その上で2021年の業績ついては、全店売上高6130億円、売上高2995億円、営業利益320億円、経常利益315億円と見通した。
事業会社である日本マクドナルドの日色保代表取締役社長兼CEOは「お客様の声に耳を傾け、変化するニーズにしっかりと対応していくことが重要」と話し、引き続き、顧客第一の追求を軸に歩を進めていくことを誓った。
50周年の記念イヤーとなる2021年、同社は「ビッグスマイル」をテーマに掲げる。日色社長は、そのイメージを「テイクアウトやドライブスルーがあるといった機能面の価値だけでなく、心地よい店舗体験のような情緒的価値も提供できるフィールグッドなブランドを目指したい」と表現した。
顧客の不満足を排除し、愚直に快適さを追求し続けた同社の50年。コロナという大きな難局を乗り越え、次の50年に「情緒的価値の追求」を見据える“外食の雄”に、いまのところ死角は見当たらない。