楽天と米投資会社のコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)は11月16日、米ウォルマート子会社の西友(東京都北区)の株式を取得すると発表した。3社が共同して西友のデジタル変革(DX)を加速させ、オンラインとオフラインを融合したOMO(Online Merges with Offline)リテーラーを目指す。
KKRが西友株式の65%、西友が20%を取得する。ウォルマートは西友株式の15%を継続保有する。西友は引き続き、ウォルマートが持つグローバルな調達網や経営ノウハウを活用していく。
西友は北海道から九州まで、300店舗以上を展開している。バブル崩壊後に財務内容が悪化し、2002年にウォルマートと提携、08年に完全子会社となった。
楽天とウォルマートは18年に戦略的提携を結び、同年秋から楽天と西友の合弁会社を通じてネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」の運営を始めた。米国においても電子書籍サービス「楽天Kobo」の展開で、ウォルマートと協業している。
今回の株式取得に当たって、西友の企業価値は1725億円(約16億米ドル)とした。ここから単純計算すると、楽天は西友の株式取得に345億円を投じることになる。楽天が持つ1億以上の会員基盤やテクノロジーを活用して西友のDX推進を支援する。
なお、楽天は新設する子会社、「楽天DXソリューション」(東京都世田谷区)を通じて西友の株式を取得する。楽天DXソリューションは、西友以外の小売業に対しても、OMO施策を中心としたDX支援を手がける。具体的には、AI(人工知能)による需要予測を活用した在庫管理や価格設定の最適化、スマートフォンなどによるレジなし決済の導入支援などを予定している。