こんにちは、成田直人です。経営相談の中には「新型コロナウイルス(コロナ)がなければ今頃・・・」という一言をたくさん聞きます。たしかにコロナで売上激減の企業もあれば逆にステイホームで売上を伸ばした企業もあるでしょう。
売上が激減した経営者からしてみれば、業績が伸びた企業の話を聞くと「運が良い」と言いたくなるそうで、私は話を聞き終わった後に「実力ですよ」とそっと伝えるようにしています。
コロナ禍でも持ち直した企業は、常に未来に向けた準備をしている
時としてコンサルタントは大好きなクライアント(相談段階も含む)に厳しい言葉を投げかける必要がある(私は比較的ガンガン指摘するタイプですが)ものです。売上を上げ続けるためにはリスク分散だってしなければいけないし、常に未来にむけた準備をしていく必要があります。しかし、現状が良いからと未来の準備を怠るとどうなるのか。いざ危機的状況になると何もする余力がなく(打つ手がない)、希望を失ってしまいます。そうならないためにも日頃から学び続けて未来への投資をしていくことが重要です。
私のクライアントの多くは会社の売上が好調なタイミングで当社に依頼してくださっている場合がほとんどです。「今は調子が良い、しかしこれがずっと続くとは思えないので店長教育を通して未来に繋がるアイデア(店長研修で作り上げる)を今から仕込んでおきたい」と常に未来に対して準備をしています。ですからコロナ禍において一時的に業績は落ちましたが、すでに持ち直し、忙しい毎日を過ごしています。
理由は他店が停滞している最中も顧客を虜にするより良いアイデアをずっと作り続けてきたからです。好不調企業を見ていて、改めて顧客はコロナ禍において「いきたい店にだけいく」という価値観が明確になったと実感しています。自分のことを誰よりもどの店よりも大切にしてくれるパーソナルな繋がりがある店にだけ足を運ぶ、自分が特に好きな(価値観が合う)インフルエンサーの店(影響力、発信力の強い店)にだけ足を運ぶ、という限定的な意思決定で店選びをしています。
ボトムアップ型のアイデアが優れている理由
この中でどうしたら選ばれるのか?答えは明確です。「選ばれるにふさわしい魅力的な店を作る」です。
とてつもなくシンプルで当たり前な回答をしてしまい申し訳ないくらいなのですが、結局のところファンをどれだけ創造できてきたのか?これからできるのか?だけなのではないかと思っています。
お客さまは「飽き性」です。なぜなら店舗の選択肢は無限にあるから。その中で選ばれるためには飽きられない工夫が必要です。それは商品やサービスの質が変わり続ける(進化し続ける)ことなのですが、この努力を怠ってしまうとすぐに飽きられます。一昔前はブームもある一定期間続きましたし、その後もいくつかは定着して残っていました。
しかし近年のブームはワンシーズンで過ぎ去ってしまっています。この厳しさを生き残れるかは、価値観の急速な変化に企業がついていけるか?にかかっています。
選ばれる難易度が高まったからこそ顧客を魅了し続けるアイデアで溢れる店づくりをしていきましょう。そのために大事なことは、鶴の一声で販促をトップダウンで落とし込むのではなく「ボトムアップ」です。
トップダウンは画一的な特徴があるため同業目線で見てもありきたりであることが多いです。一方、もっとも顧客の価値観やニーズの変化をキャッチしている現場発のアイデアを形にするのです。その知見を生かさない手はありません。しかし、いきなり「アイデアない?」と尋ねたところで、アイデアは出てきません。なぜなら、トップダウンに慣れているからです。
だからこそ主体性を育む上下間のコミュニケーションと人材教育が欠かせません。いきなりアイデアを出せ!と言われても出せないものなので、アイデアを出しやすい環境(良い人間関係)と、忙しい中でも商品勉強やPOPづくり、レイアウトの勉強会が欠かせないのです。
店長がビジネス書を読んで、見様見真似でやってもいいじゃないですか。従業員の教育を通してスタッフ個人個人の表現力を高めることでアイデアは自然と生まれるようになります。ぜひコロナ禍における店づくりの一助になったら嬉しいです。
なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。