なぜジャパネットはアフターサービスにこだわるのか
買った後も含めて価値ある体験にしたい
商品によっては、お客様の声を生かして、次のモデルチェンジまでに10程度の改善を施したこともあります。
また、購入後の問い合わせが多く、返品率が高い商品があったとします。そうなるとどれだけ売っても、お客様満足につながりません。そうした商品は翌年、メーカーと相談しながら改善を図ります。それでも問い合わせ件数や返品が減らなければ、取り扱いをやめる場合もあります。
誤解を恐れずに言えば、かつてのジャパネットは「髙田(明)さんだから買う」「髙田さんが薦めるから買う」だったと思います。父の存在が購買動機の1つになっていました。
父が退任した今、これを「ジャパネットだから買う」に変えていかなければならないと思います。そのために買った後も含めて、価値ある体験をお客様に提供したい。そう考えて、アフターサービスを含め、コールセンターや物流など周辺のサービス品質を磨いてきました。
実は現在、当社の売り上げの主力は、テレビ通販ではありません。ジャパネットでは、テレビに加えて、ラジオ、インターネット、紙という4媒体で通販を手がけていますが、その中で売り上げの全体の約半分を占め、かつ一番伸びているのは紙媒体です。
これは意味あることだと、僕は考えています。
なぜなら、紙媒体の大半を占めるカタログは、ほかの媒体ですでに購入実績があるお客様に送っています。つまり、リピーターの方々に顧客を絞った販売チャネルです。そこでの売り上げが圧倒的に多いということは、リピーターの方々に確実にファンになっていただいている。商品選定やアフターサービスなどを含め、ジャパネットというブランドに対する信頼が向上している証しだと考えるからです。
アフターサービス部門を自前で抱えると、コストも人員も手間もかかります。しかし、努力次第でそれ以上の価値を生み出せるのではないでしょうか。
※ 髙田旭人氏の著書『ジャパネットの経営』(日経BP)78~83ページの記載を、髙田氏および日経BPの許諾を得て転載しました。