「獺祭」がニューヨークで現地生産に挑戦! “手作りの哲学”を貫き世界へ
日本酒「獺祭」で知られる旭酒造(山口県/2025年6月1日より獺祭に社名変更)が、アメリカ・ニューヨーク郊外に酒蔵を構えた。現地生産で手がけるブランド「獺祭BLUE」は、2023年9月に販売を開始し、巨大なアメリカ市場の厳しい環境下で挑戦を続けている。現地生産に至った経緯から、「獺祭BLUE」の飲み心地、厳しいアメリカ市場にこだわる理由、そして今後の展望まで、桜井博志会長に話を聞いた。
アーカンソー州産の山田錦を使用 さわやかで香り高いと評価

アメリカ産「獺祭BLUE」が製造される酒蔵は、ニューヨークのマンハッタンから北に2時間、ハイドパークという町にある。獺祭の桜井会長は「本気で海外展開を進めていくには、現地生産も選択肢の一つだと以前から考えていた」と話すが、実現のきっかけとなったのは、2016年にニューヨークの名門料理大学CIA(Culinary Institute of America)から届いたオファーだった。
「はじまりは、『料理大学の近くでマイクロブリュワリーのような酒蔵を作らないか』と声がかかったこと。そこから獺祭の本格的なアメリカ酒蔵計画が始動した。法規制や土地探しでは数々のハードルがあったが、2017年に理想的な土地を確保することができた」(桜井会長)
そして2023年3月、ついに「Dassai Blue Sake Brewery」が完成。同年9月に「獺祭BLUE」というブランド名で販売を開始した。

「現地生産するからには現地栽培の米を使いたい」との強い想いから、獺祭BLUEは、アーカンソー州産の山田錦と現地の水を使用している。日本の獺祭と味はどう違うのか。
「香り高くさわやかで、ボリューム感がある。香りが高いのは、アメリカの水にはクロール(麹からの酵素の溶出を促進する塩素イオン)が多く発酵の際に香りが立ちやすいから。一方、アルコール度数は日本より少し低い仕上がりになる。完成させるまでは試行錯誤の連続で、7本目の仕込みまではまさに綱渡りだった。日本の方が好みだという声もあるが、現地ならではの個性を評価いただいている」(桜井会長)
日本の獺祭ファンから「アメリカ産の獺祭を飲んでみたい」という声も多く、逆輸入品として新宿の伊勢丹などで期間限定販売も行われた。結果、持ち込んだ分は即完売。今後も店舗を限定しての継続販売を検討しているという。






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