関東1号店は横浜市港南区! バローHDが描く関東500億円構想の中身
「関東500億円構想」の中身は
バローホールディングスは決算発表と同時に、グループの成長戦略を発表しており、その中で、関東圏(東京・神奈川県・千葉・埼玉・茨城・群馬・栃木の7都県)でグループ売上高500億円をめざす、「関東圏売上高500億円構想」を掲げている。
2025年3月期の通期決算で増収増益を果たし、営業収益8000億円を突破したバローホールディングス。今期の予想営業収益は9020億円と、売上高1兆円を射程圏内にとらえている。この1兆円構想を実現するカギと位置づけるのが、近年出店を強化してきた関西、そして関東への食品スーパー出店だ。
「(関東は)未知の領域というわけではない」
そう話すのは、バローホールディングスの小池孝幸社長だ。その言葉のとおり、バローホールディングスでは、2016年に山梨・神奈川で店舗展開する公正屋(山梨県/杉本仁司社長)、2019年には千葉県地盤のてらお食品(千葉県/宇山正社長)と、関東圏に店舗を持つローカルチェーンをそれぞれM&A(合併・買収)している。また、グループ企業のペットショップ「アミーゴ」、ホームセンターの「ダイユーエイト」なども関東で店舗展開中だ。
これら食品スーパー以外の業態もあわせた2025年3月期末時点の関東圏の店舗数は84店舗に達しており、売上高は約180億円に上る。関東500億円構想では「あくまでも食品スーパーが主体」(小池社長)としつつも、この現在約180億円を500億円に引き上げる考え。達成時期は、出店用地・物件の状況によるとしつつも、「2030年あたりまで、できれば前倒しで達成したい」と小池社長は話す。
関東での出店フォーマットは!?
ではバローは関東においてどのように食品スーパーの出店を推し進めていくのか。小池社長は「来た物件はすべて精査する」としつつも、「戦いやすいのはデスティネーション・ストアのロードサイド店だ」と話す。
バローでは近年、生鮮を軸に専門性と目的来店性を高めた「デスティネーション・ストア(D・S)」の新規出店、既存店の改装を進めている。競合を飛び越えて広域からも来店する、地域一番店を志向する店づくりにより、東海・関西エリアで顕著な成果をあげてきた。関東においても、圏央道沿いなどのロードサイドエリアにD・Sを展開することでシェアを拡大していきたいとしている。

ただ、関東、とくに首都圏では出店余地が限られており、駐車場を備えた食品スーパーの単独店を出店できるような物件はそう多くない。そのようなエリアにおいては、「小型でも集客ができ、売上をあげる店をつくっていく」と小池社長は話す。バローホールディングスでは、傘下に「たこ一」「八百鮮」といった生鮮特化型の小型スーパーを抱えており、その中には1坪当たり売上高が1000万円を超える店もあるという。そうしたグループ企業のノウハウを生かし、小型店にも積極的に挑戦する構えだ。
食品スーパー業界では、昨年にオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)が関西1号店を出店。それに対抗するように関西フードマーケット(大阪府/林克弘社長)が価格訴求型、高付加価値型の新フォーマットをスタートするなど、新たな競合の出現により関西小売は競争環境が一変している。バロー進出は、有力チェーンがひしめく関東の勢力争いにどのような影響を与えるのか。1店舗当たり売上高を重要指標とした、地域一番店戦略を志向するだけに、競合店が受けるインパクトも大きいとみられる。バローの店舗展開はもちろん、各社の“バロー対策”にも注目だ。






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