第108回 ショッピングセンターのテナントが知っておくべき重要なこと
本連載では、主としてショッピングセンター(SC)事業者向けに書くことが多いが、今回は見方を変えて「出店するテナント」に対して、SCに出店する意味と意義について解説する。

テナントの店長たちは意外と知らない
SC内のテナント店長達は、自分の会社とSCがどのような契約がなされているのか、それが路面店とはどう違うのかなど、配属の際に教育を受けていないことが多い。路面店への配属もモール内店舗への配属も実際に赴任してから色々見聞きして学ぶ。
しかし、これはもったいない話である。
SCには、マネジメントオフィスやサポートセンターやオペレーションセンターと呼ばれる事務所があり、そこには営業、販促、経理、設備、総務など、店舗(テナント)をバックアップする機能が揃っている。
また、ホームページやSNSなどの情報ツールも数多くあり、これらを活用しない手はない。
しかし、その活動にはやはり役割と責任が伴う。本稿は、これらを理解することでSCへ出店したテナントの健全な成長を応援したい。
SCとテナントの契約関係
SCとテナントは借地借家法に基づく「建物賃貸借契約」が交わされ、賃貸物の独占的排他的占有権が担保される。要するに、テナントは、借りた区画の中で一定のルールはあるものの、自由な営業が認められる。その反面、当然、責任も伴うことにある。
テナントは、建物賃貸借契約によるリスク負担(図表)と責任を負い、役割を担うことになる。そこでは商品の在庫リスクを持ち、安定した雇用を保つことも求められ、売上高の向上と利益確保をミッションとして日々活動することになる。
|
図表 SCとテナントのリスク負担 |
||
|
SC |
項目 |
テナント |
|
不動産業 |
業種 |
小売業、他 |
|
– |
商品リスク |
● |
|
– |
在庫リスク |
● |
|
– |
雇用リスク |
● |
|
● |
不動産リスク |
– |
|
● |
空室リスク |
– |
SCに出店したテナントの最大の責任は
続きを読むには…
この記事は DCSオンライン会員(無料)、DCSオンライン+会員限定です。
会員登録後読むことができます。
DCSオンライン会員、DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。
商業施設の価値を再定義する「西山貴仁のショッピングセンター経営」 の新着記事
-
2025/12/01
第128回 少子高齢化時代におけるショッピングセンターのターゲット設定 -
2025/11/18
第127回 ショッピングセンターが「フロア収支」を採用しない理由 -
2025/10/31
第126回 SC運営の成否を決める顧客の滞在時間 “装置産業”としての役割とは何か -
2025/10/17
第125回 「駅ビル」が抱えるリスクを百貨店の歴史から考える -
2025/10/03
第124回 相次ぐフードホールの開業 日本で成功するためのカギとは -
2025/09/19
第123回 「営業時間統一」という常識打破に向け、SCに求められる対応とは
この連載の一覧はこちら [128記事]
関連記事ランキング
- 2025-11-07長野県内最大「イオンモール須坂」が開業! イオンスタイルでは非食品の“専門店化”に注力
- 2025-11-18第127回 ショッピングセンターが「フロア収支」を採用しない理由
- 2025-11-06「街ナカぐらし」に寄り添う!「イオンモール仙台上杉」の館づくりを解剖
- 2025-10-21実例に見る「危ない商業施設」の見分け方
- 2025-11-13知られざる四国の激戦地・愛媛県西条市 トライアル進出で環境急変か
- 2025-11-13イズミ、ハローズ、ダイレックス……中四国最大都市・広島市の視察の仕方
- 2025-11-09新潟県初の「そよら」がオープン イオンリテールの県下での存在感さらに大きく
- 2025-12-01第128回 少子高齢化時代におけるショッピングセンターのターゲット設定
- 2025-10-03「ニュウマン高輪」がデザインする100年先の生活価値とは
- 2013-12-02年間2ケタ以上のNSCを開業!地域密着の商業集積めざす=イオンタウン 大門 淳 社長





前の記事


安さづくり、販促にも力入れる、平和堂守山小幡店の売場づくりを徹底解説!

第104回 多様性の時代、接客ロープレに求められる意義とは