実録!働かせ方改革(6)外国人アルバイトの育成がうまいコンビニのここが違う!
個々の課題に応じた指導をしなければ、育成はうまくいかない
今回は、外国人の育成を考えるうえで検証すべき事例だと思う。私が導いた教訓を述べたい。
①ここがよかった
個に応じた指導を実行した
日本人もまた、個々のアルバイトにより、仕事のレベルは違う。外国人は母国での教育や家庭環境などがそれぞれの国で違うのだから、来日したいきさつや背景も違う。アルバイトに対する考え方も様々だろう。このことを本当の意味で心得ている雇い主や従業員は少ないように私には見える。少なくとも、個々の違いを見つけ、その弱いところや課題を直すように誘うことはなかなかできない。漫然と仕事をさせて、できない時に「ダメ!」と注意したところで、それは「育成」とは通常呼ばない。
本来、育成とは仕事をあてがうだけではなく、そこから先にまで踏み込んで「教える」ことまでしないといけない。さらに、その進捗などを含め、「確認」することが必要だ。その際、個々のアルバイトの違いを踏まえ、「この人には、このような言葉が好ましい」と考えたうえで接するべきだ。これら一連のアプローチを本当にできているだろうか。私は、多くの人ができていないと見ている。
②ここがよかった
育成は店舗を変える!
店長自らアルバイトを育成する。コンビニエンスストアならばよく見られる光景だろう。しかし、今回の事例のように、真摯に教え込む姿を私はあまり見ない。なぜ、この店長の指導が厳しく見えるのだろうか。私は、店長がアルバイトの1つひとつの作業の様子や進捗などをそばで「確認」をしているからだと思う。ある意味で「監視」とも言えるのかもしれないが、これこそが「育成」だと私は考えている。
ただし、この店長の場合、声の調子がややキツイ印象を周囲に与えている可能性がある。気をつけないと、パワハラなどと言われかねない時代ではある。そこだけが、課題だと思う。
神南文弥 (じんなん ぶんや)
1970年、神奈川県川崎市生まれ。都内の信用金庫で20年近く勤務。支店の副支店長や本部の課長などを歴任。会社員としての将来に見切りをつけ、退職後、都内の税理士事務所に職員として勤務。現在、税理士になるべく猛勉強中。信用金庫在籍中に知り得た様々な会社の人事・労務の問題点を整理し、書籍などにすることを希望している。
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