第100回 30年後、社会と商業はどうなっているのか?
2024年7月以降、コロナ禍でストップしていたプロジェクトの開業が続いている。新規開業は景気の良い話だし、新規がなくなれば人心も停滞し、先行き不安も増大するから新規開発は歓迎される。ただ、一方で、本当に作り続けることは正解なのか。1972年の日本列島改造論から続く開発神話。今は、当時とは大きく状況とは異なる。しかし、相変わらず整備新幹線に高規格道路の整備は続く。今後、人口が減少し、その維持管理やメンテナンスはどう担保するのか。民間セクターでも高層ビルや高層マンションや商業施設を作り続けることが選択すべき戦略なのか。今号は、この問題意識について人口動態からは考えていくことにする。

今年の新入社員は2001年生まれ
今年も新入社員研修で何社かを担当したが、彼らの多くは2001年生まれである。私からにすると2001年など「さっき」のように感じるが、スマートフォンが発売されたのは、2008年だから彼らはモノゴコロがつく時には手にスマホを持っていた。
また、人口減少が始まったのが2005年。とすると彼らは人口減少の中、成長してきたことになる。お陰で就職活動は売り手市場。今、40代後半の人が経験した就職氷河期とは異なり、いくつも内定先を持ち就職活動を行い、そこに切迫感は薄い。
この売り手市場は人口動態が影響する。新入社員が生まれた2001年の出生数は117万662人、それに対して今、50歳の1973年生まれは209万1983人。当時の半分しかいないのだ。
この半数の人数を企業が奪い合えば、当然売り手市場にもなる。しかし、仮に企業規模が今後も維持されれば、2001年生まれの人達は難なく管理職になる。大学全入時代と同じような状況である。(おそらく、この先の時代は管理職という役職やポジションはなくなっているだろうと私は予想している)。
この状況は、決して止まることはなく、むしろ増進する。それは23年の出生数が72万7277人であり1973年の35%であり、亡くなった方との差し引きで年間の人口減少数は80万人(図表1)を超え、そのスピードは、毎年一つの県が消えるほどである。
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