上場廃止から6年、業績V字回復の「カメラのキタムラ」の現在
高利益率も客数は減少、フォトプリント事業の今後
利益率は高いものの利用者が減少しているフォトプリント事業では、1人あたりの単価アップが課題だ。キーワードとして安達氏は、「ギフト」と「コレクション」を挙げる。
旅行や孫との写真をプリントしたギフト用途、あるいは子どもの成長過程や“推し”の写真を集めるといったコレクションニーズ。背景が透明な写真をプリントできる「クリアプリント」サービスや、仕上がりを確認しながらプリントできる「店頭ラボ」機能は、こうした需要にマッチする。フォトブックが人気のグループ会社、しまうまプリントとのシナジーにも期待できそうだ。
さらには、「プリントのシーンそのものを変えたい」と安達氏。試験的に、ライブ会場などにキタムラが出向き、現地で「感動が生まれる瞬間に」(安達氏)即時プリントし即時グッズ化できるサービスを考案している。

フォトスタジオ事業は、誕生から節句、誕生日、七五三といった節目ごとの利用の継続性が明暗を左右する。顧客データに基づくCMR、SNS施策、バナー広告などを駆使してマーケティングに力を入れるとともに、「写真館の第5世代を作っていきたい」と、安達氏は話す。
「いわゆる“町の写真館”が第1世代、これをチェーン展開した当社の『スタジオマリオ』は第2世代。続く第3世代は、『ライフスタジオ』に代表されるようなオシャレ感のある写真館で、第4世代は出張写真館。世代が進むごとに写真の『画(え)』が変化している。新たな『スタジオマリオ』は、目線や動き、非日常感のある衣装を工夫することで、スタンダードな画のみならず新しい画も撮れる写真館をめざしたい」
とはいえ、出生率が低迷する時代、フォトスタジオ事業が衰退業界であることは否めない。キタムラとしては、他事業併設型の店舗運営やシナジー効果を高めることで、全体の固定費削減と利益率向上をめざす構えだ。
オムニチャネル構築やCRMの強化には、デジタルに強い人材が欠かせない。また、カメラ&リユース事業では経験と専門知識を持つ人材が求められる。よって引き続き、外部からの優秀な人材を採用したい考えだ。「査定経験者やデジタルに強い人材を集めて、デジタル領域と買取り領域を強化したい」(安達氏)としている。