初の専門店も!「無印良品」がアパレル改革に成功した理由とは
アパレル強化を打ち出し、この夏近年で最高の売上をたたき出した「無印良品」の衣料品事業。その成功に合わせるようには2023年10月、良品計画(東京都/堂前宣夫社長)は「MUJI新宿」をリニューアルし、衣服に特化した初めての店舗をオープンした。無印良品で実を結んだ衣料品戦略とはいかなるもので、衣料品に特化した「無印良品 新宿靖国通り」のオープンにはどんな狙いがあるのか? 執行役員の山本直樹氏に話を聞いた。
商品の充実で売上の落ち込みを克服
2022年秋冬、無印良品の衣料品を抜本的につくり直し、「永く使えるオーセンティックな衣服」を提供していくことを宣言した良品計画。それからおよそ1年、2023年10月に初の衣服特化店舗が登場した。どのような事業戦略のもと、新しい試みに挑むのか。
衣服雑貨部と中華圏を除く海外事業を管掌する執行役員の山本直樹氏は、2023年夏の業績を「とくに良かった」と振り返る。「風を通す。涼感がある。濡れてもすぐに乾く。そういった夏向けの素材を使った商品のラインナップがぐっと増えて、強くアピールできるようになった。特に夏の後半に売上をぐっと引き上げて、昨年までと比べて大きな差が出た」
前年比だけでなく数年のスパンで見ても、最高の成果となった。しかし実は無印良品の衣服カテゴリーは「夏は苦手だった」そうだ。毎年3月から4月の新生活が始まる時期からゴールデンウィークにかけては好調だが、7月、8月になると売上が落ち込んでいた。それを商品の充実によって克服できたことは大きい。
具体的にはリネン、ヘンプといった夏素材に加えて、最も軽い天然繊維のひとつで、綿の約8分の1という軽さのカポックを使用したアウターを充実させた。地球の環境負荷低減が求められる中でニュース性を打ち出せた手応えも感じたという。
「単品単位で商品が考えられており、トータルコーディネートが意識されていなかったこと」にも課題感を抱いており、基本に立ち返って、安定的に普通のシャツ、ジャケット、Tシャツ、デニムを揃え、それらを毎年ブラッシュアップしていくことで「定番を完成させよう」という方針を掲げた。