ポスト・コットンは「パイナップルの葉」? 沖縄発ベンチャーが挑む新天然繊維の可能性
グローバルサウスとの連携が量産化のカギ
新たな繊維抽出技術の確立に加え、大手企業との資本提携によって「ようやく、FOOD REBORN FIBERの量産化に向けたスタートラインに立てた」と宇田氏は語る。目下、繊維抽出の機械を携え、台湾、インドネシア、タイ、フィリピンなどの各国の要人にプレゼンテーションをしているところだ。
「現地での反応はとてもよい」と宇田氏は手ごたえを口にする。台湾はもともと日本と友好関係にあり、さらに沖縄のパイナップルは台湾から伝来したという縁もある。機能性繊維における高い技術力もプラス要素だ。
インドネシアは、世界第4位の人口ボリュームがあり、「伝統衣装の『バティック』を自国のパイナップル葉由来の天然繊維で作れれば一大産業になる」と政府関係者も関心を示しているという。
量産化に向けて、上々のスタートを切ったフードリボンのFOOD REBORN FIBERのチャレンジ。TSIホールディングス、豊島の両社も、志をともにするパートナーとして意気込みを語る。
「まずは、早く目に見える形にしていきたい。また、単なるコットンの代替品という位置づけで市場に出すのではなく、トレーサビリティや農家の所得向上などのストーリーも付加価値として、消費者の共感が得られるような打ち出し方をしていきたい」(山田氏)
「これまでのサステナビリティ製品のような高級ラインではなく、コットンに補完できる商材の一つとして、世の中に広く普及させていくことが大事。はじめはコットンなどと混紡し、量産化しながら、現実的な価格を実現できるようにしていきたい」(溝口氏)
宇田氏も「このFOOD REBORN FIBERを、社会変革をする素材として着実に広げていきたい」と前を見据える。
「いくら農家の所得向上やトレーサビリティをうたっても、少量しか流通しないのでは社会変革といえるほどのインパクトにはならない。当面のマイルストーンとしては、コットンの5%分を目指したい。5%とはいえ大きな数字だが、これから沖縄をハブにして、グローバルサウスとの連携を広げていけば、達成は可能だと信じている」