ポスト・コットンは「パイナップルの葉」? 沖縄発ベンチャーが挑む新天然繊維の可能性
アパレル業界からも「援軍」が現れる
持続可能な循環型社会の実現をファッション業界から発信する目的で2022年に発足した「天然繊維循環国際協会」の理事に、同社の元会長の三宅正彦氏(現・名誉顧問)が就任し、同じく副理事長に就任した宇田氏と知り合う。その縁で宇田氏の取り組みを知った同社コーポレート本部 SDGs推進室長の山田耕平氏は、次のように語る。
「当社としても、メーカーの立場でただ生地を仕入れるだけでなく、新しい技術開発に主体的に取り組む必要性を感じていた。そのタイミングでフードリボンの取り組みを聞き、宇田さんが技術面の課題をクリアしていたこともあって、支援を決定した」
もう1社が、大手繊維商社の豊島(愛知県/豊島半七社長)だ。同社ではCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を通じて、アパレル業界の課題解決に取り組むベンチャーなどに出資を行っている。「その一環でフードリボンの存在を知り、興味を持った」と、取締役営業企画室長の溝口量久氏は語る。
「当社でも綿花を補完する天然繊維の確保は急務だと考え、さまざまな技術を見てきた。その中でフードリボンのFOOD REBORN FIBERは、世界的に見てもコットンに比肩するだけの量が確保できる素材であると可能性を感じた」
溝口氏が話すように、このパイナップル葉、さらにバナナの茎も含めた未利用の農業資源から生まれる天然繊維の生産量は、全世界で3200万トンと推計される。あくまで理論値だが、コットンの生産量(約2600万トン)を超える生産量を確保できるのだ。
一過性の“ファッション”に終わらず、コットンに代替、あるいは補完できるだけのインパクトをFOOD REBORN FIBERはもたらしうる――TSIホールディングス、豊島の2社はこの点に意義を感じたという。その結果、2023年1月より、フードリボンは両社から資本提携を受けることになった。