レシートは語る第11回 直近の月次も好調続く! ヤオコーを躍進させる「二極化への対応」

2023/08/21 05:57
山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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全体購入金額は
オーケーに続いて高い

 さらに23年1月~6月までのレシートデータを分析し、購入状況を比較した。(図表3

図表3
図表3

 ヤオコーのレシート1枚あたりの平均購入点数、平均購入金額(レシート単価)は5チェーン計を上回り、いずれも「オーケー」に続いて高い結果となった。
前出の調査結果で、「品質」、「品揃え」で同じく高い評価を受けていたライフと比べてみても差をつけている。

商品単価は
中間に位置する意味

 もう1つ注目したいのが、ヤオコーは「品質」・「品揃え」で支持を受ける一方、商品単価はと決して高いわけではなく、中間に位置していることだ。

 物価上昇で節約志向が高まるなか、EDLP(エブリデー・ロープライス)の価格政策や、ポイント制度を活用した販促、プライベートブランド(PB)の販売強化など、価格対応にも注力していることが要因だと考えられる。

 実際に調査回答者からは、「商品が豊富で値段が安く、ポイント制度があり割引券をくれるのでできるだけ利用する」、「PBが充実していて結果的にお得」といった声が挙がっている。

 この数年で消費環境が劇的に変化し、消費ニーズはますます多様化をみせている。また、コロナ禍が収束したとは言え、外食は完全には戻っておらず、家庭の食卓で“ちょっと良いもの”を楽しむ傾向は継続しており、消費の二極化は確実に強まっていると考えられる。

 こうしたなかヤオコーは本来の持ち味である「品質」「品揃え」の特徴を伸ばしつつ、「価格」でも巧みに節約志向を取り込む戦略が今の消費者に合致し、支持獲得に成功していると言えそうだ。

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記事執筆者

山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

山室直経(やまむろ・なおつね)

神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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