Z世代とコラボし手帳デジタル時代にヒット連発!OEM主業 老舗メーカーのアジャイル開発とは
Z世代とコラボし、手帳の新たな可能性を提示する
スマートフォンの普及などでスケジュール管理のデジタル化が進み、手帳市場には逆風が吹いている。クロス・マーケティング社が2022年に実施した「手帳に関する調査」によると、紙の手帳を使用している人は42.5%と半数にも満たない。
その危機感は伊藤手帳も同様に抱いている。そこで、「紙の手帳の魅力を若い世代にも伝えたい」と、「Z世代」と言われる高校生や大学生と積極的なコラボを展開している。
「毎日が前向きに楽しくなる手帳」をうたった「POZITE(ポジテ)」は愛知県立一宮商業高等学校とのコラボ商品。週ごとに、毎日をポジティブな気持ちにするメッセージが掲載されている。
「3STEP日記」は、毎日の行動を「今日は何をしたの?」「どう感じた?」「ネクストアクション」の3つのステップで記載する日記。愛知大学との学内プレゼンテーションで最優秀賞に選ばれたアイデアが商品化されたもので、「日経トレンディ」誌の「Z世代大トレンド予測」でも採り上げられた。
「自分たちが一生懸命考えたものが形となって完成した手帳を見て、感動して涙を流す学生もいる」と、学生との商品企画にも立ち会う伊藤氏は感慨深そうに語る。
近年では、YouTuberやブロガーなど若い世代に支持されるインフルエンサーからの、オリジナル手帳の制作依頼も多いという。決まったフォーマットに縛られずに思い思いの使い方ができ、使っているうちに「世界に一つの手帳」になる。デジタル化が進んでいるとはいえ、この紙の手帳ならではのアナログな魅力は普遍的なもので、若い世代もその魅力を感じているのだろう。
Z世代に代表されるネクストジェネレーションと、創業95年の老舗メーカー。この異色のコラボが、手帳の“逆に新しい”価値と可能性を、これからも生み出してくれるだろう。