客単価コロナ前比127%と売上好調、高くても売れるエストネーションのマーケティング戦略とは
クオリティの高いオリジナルブランドと国内外のデザイナーズブランドのセレクトショップとして、全国7カ所にショップを展開するエストネーション。2001年に東京・有楽町からスタートし、コロナを機により「上位シフト」を目指すことで、前期売上はコロナ前と同等水準を維持し、セール時期を除く定価販売の各月はコロナ前を上回るなど好調が続く。好調の理由はどこにあるのか、サザビーリーグ(東京都/角田良太社長) エストネーションカンパニー カンパニープレジデントの大田直輝氏に話を聞いた。
高い客単価を維持
エストネーションが当初からターゲットとするのは、ファッションへの興味が強く日頃からファッションを楽しみたいと考える意識の高い顧客だ。オリジナルのエストネーションブランドのTシャツで1万円前後からという価格帯。客単価は6~7万円程度と極めて高く、顧客と丁寧に向き合い接客することで成長を続けてきた。有楽町のほか、六本木、二子玉川、横浜、京都、大阪、神戸と大都市に店舗を構え、中でも六本木ヒルズ内にある六本木ヒルズ店は大型だ。長引くコロナの影響がかなり大きかったのではないかと想像する。
ところが、前年度は通期でコロナ前と同等の売上を維持し、セール期間の6月、7月、1月を除く月はすべてコロナ前を上回るという好調ぶりだ。
「顧客へのフォーカシングを徹底的に強めたことで、逆に店舗に足を運ぶ人にエストネーションの価値観がストレートに響いたのではないか」とカンパニープレジデントの大田直輝氏は話す。
実際、同社はECへの顧客の誘導などは特別行わず、コロナ禍でも変わらず実店舗での接客を基本とし、これまで通りファッションの楽しみを提案する営業スタイルを貫いている。