業界一攻めてる!ドムドムバーガーを復活させた「常識にとらわれないマインドセット」とは

堀尾大悟
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「こだわりを捨てる」と「思いやり」の両輪経営

従業員アイデアバーガー表彰
従業員のアイデアバーガーを表彰する

 従来のハンバーガーチェーンの枠にとらわれない、自由でチャレンジングな取り組みの数々。そこには、藤﨑氏自身のキャリアにルーツがある。

 21歳で結婚してから専業主婦一筋。39歳で渋谷・109のアパレルショップの店長になるまで就業経験がなかったという、「異色」の2文字では説明しきれない“ユニークすぎる経歴”を持つ。

 「109のギャル店員は、見た目が派手で言葉づかいも時に悪く、夜遊びすることもある。でも、一緒に働いてみると実はやさしくて一生懸命。物事を多面的に見ることで『こだわり(固定概念)を捨てる』ことの大切さは、彼女たちが教えてくれた」

 実はドムドムにも、もともと自由闊達な組織風土があった。現在も主力商品の「お好み焼きバーガー」は、実は40年も前からあるメニュー。日本発のハンバーガーチェーンとして、日本人の食文化を取り入れた独自の商品開発を古くから行っていたのだ。そのDNAが、藤﨑氏の「こだわりを捨てる」経営方針とうまく化学反応したといえよう。

 「新店舗のご相談はひっきりなしに頂く」と語る藤﨑氏。業績が好転してからは新店舗開発も解禁し、現在の店舗数は28店舗。それでも「規模の拡大を目指すつもりはない」と言い切る。

 「成長戦略なども考えていない、というかよくわからない。それよりも『お客さまと従業員にとってハッピーであるかどうか』がいちばんの判断軸」

 今も多忙な合間をぬっては店舗に赴き「いつもありがとう。ヘンな商品ばかりで大変だね」とアルバイトスタッフをねぎらうという藤﨑氏。長年の専業主婦の経験から生まれたその心遣いが、スタッフのエンゲージメントを高め、アルバイトから社員に転身する例も少なくない。

 「お客さまやスタッフがどう思っているのかを推測し、どうすれば満足させられるかを突き詰めて考える。その『思いやり経営』が会社の指針になっている」

 「カニバーガー」でヒットを打ったとしても、オペレーションが回らずにスタッフが不満を持っていては長続きしない。経営の根底に「思いやり」があってこそ、大胆なチャレンジを続けられるのだ。「こだわりを捨てる」と「思いやり」の両輪経営で、これからもドムドムは私たちを驚かせてくれるだろう。

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