業界一攻めてる!ドムドムバーガーを復活させた「常識にとらわれないマインドセット」とは
イベント出店、オリジナルグッズ……業界の「常識」を超える
並行して取り組んだのが、「カニバーガー」に象徴されるユニークな商品開発だ。「社内の試食会でたくさんの意見を聞いていては尖ったものができない」との考えから、開発体制は藤﨑氏を含む2人と最小限に絞った(後に1人追加)。ここから、いい意味で“常軌を逸した”メニューが次々と世に出ていく。「ドムドムが、今おもしろい」と世間の認知が少しずつ広がっていった。
とりわけ、取締役会の反対を押しきって商品化した「カニバーガー」の大ヒットは、「社内へのインパクトも大きかった」と藤﨑氏は振り返る。
「業界の常識にとらわれずにチャレンジをしていいんだ、という社内へのメッセージにもなった。同時に、チャレンジをし続ければドムドムは必ず復活する、という社内の意思疎通ができていった」
「カニバーガー」が社内にもたらした「常識にとらわれない」マインドセット。それは、商品開発以外にも広がっていく。
外部のイベントへの出店がその一例だ。店舗数が少なく、かつ店舗面積も小さいドムドムでは「店舗以外にも多くの消費者とのタッチポイントが必要」との考えから、積極的に地域のイベントにキッチンカーを出している。
また、さまざまな企業や施設とのコラボメニュー開発にも積極的に対応。「浅草花やしき店」では「浅草コロッケバーガー」、「市原ぞうの国店」では地元・千葉の名産、味噌ピーナッツを使った「味噌ピーチキンバーガー」などの限定メニューが並ぶ。
オリジナル商品のECサイトも、他のハンバーガーチェーンでは類を見ない。オリジナルキャラクター「どむぞうくん」のぬいぐるみやTシャツ、マグカップなどのグッズは根強いファンも多い。
オリジナルグッズのきっかけは、多くの飲食店が大打撃を受けたコロナ禍だった。マスク不足が深刻化した2020年、スタッフ用に作った「どむぞうくん」のマスクを「社会貢献のつもりで」レジ横に無償で置いた。すると、そのツイートに5万を超える「いいね!」がついたのだ。
ファンの声に応えてそのオリジナルマスクを限定販売したところ、「各店舗に長蛇の列ができてしまい、密を回避しなければならないのに密を作ってしまった」と藤﨑氏は頭をかく。店頭販売をストップし、10日でECサイトを立ち上げた。今日では、EC部門の売上は全体の7パーセントを占めるまでに成長している。