インタビュー:消費増税に向け、米中摩擦が最大の懸念=自民総務会長
[東京 24日 ロイター] – 自民党の加藤勝信・総務会長は24日、ロイターとのインタビューに応じ、現時点でリーマン・ショック級の事態が起こるとは想定できないと述べた。その上で、今年10月の消費税率引き上げは「このまま行けば」予定通りに実施するとの従来見解を繰り返した。
同時に、米中貿易摩擦が「最大の懸念事項」であるとして、6月末に大阪で行われるとみられている米中首脳会談が「一つのポイント」と指摘。仮にリーマン・ショック級の事態が発生して増税延期を決めても、従来の政府説明通りであり、信を問う必要はないとの見解を示した。
加藤会長は、日本経済の現状について「(1─3月の)国内総生産(GDP)は、個人消費が少し減少するなどいろいろあるが、基本的な雇用環境や企業収益の構造に今のところ大きな変化はない」と述べた。
海外についても「中国の経済も少し上向きに転換しており、世界経済は持ち直していく」との見通しを示した。
このため「総じてみたときに、リーマン級の出来事が少なくとも足元で起こっているわけでない。今の動向からみて先行きの中で、起こり得るとの見通しを持ち得る状況にもないと思うので、消費税率の引き上げは、このまま行けば引き上げていくということになると思う」との展望を示した。
同時に「最大の懸念事項は、米中の貿易摩擦がどのように推移していくのかだ」と指摘。トランプ大統領が検討している対中関税第4弾が発動されれば「米国経済にも影響があると言われており、米中の議論をしっかりみていかないといけない」と強調した。
その上で、6月末に大阪で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の前後に予定されている米中首脳会談について「そこで結論が出るのかわからないが、一つの大きなポイントになる」と指摘した。
24日の衆院厚生労働委員会で安倍晋三首相が、リーマン・ショック級の事態が発生して増税延期を決めても、必ずしも国民の信を問うことは考えていない、と発言した点について「解散権は首相の専管事項」としつつ、「リーマン級の事象が起きたとき(の増税延期は)、海外要因なので、そのような不可避的な状況で起きた場合、ロジカルに考えれば、(延期は)これまで政府が言ってきたとおりに対応するわけだから、信を問うことにはならない」と述べ、安倍首相の見解に理解を示した。
また「世界経済と日本経済は、密接不可分な関係なので、世界的にリーマン級の事態が起きれば、当然日本にも起きてくる」と述べた。
(竹本能文、木原麗花 編集:田巻一彦)