縮小マーケットで勝ち残るのはどの企業? メガネ専門店チェーンの動向を解説
業界首位のメガネトップはどんな企業?
そのほかの企業も見ていこう。業界1位は、静岡に本社を置くメガネトップという企業だが、社名を聞いただけではピンとこない読者も多いだろう。
メガネトップではメガネ専門の「ALOOK(アルク)」、コンタクトレンズ専門店の「LensDirect(レンズダイレクト)」などの屋号で店舗を展開しており、主力の「眼鏡市場(めがねいちば)」であれば店舗を見かけた人は多いのではないだろうか。SPAを基盤とするモデルはジンズHDと同じだが、価格帯は比較的手ごろに抑えつつも、ジンズHDよりワンクラス上に置いている。
メガネトップは2014年にMBO(経営陣による買収)を敢行しており、非上場化している。その後は短期業績に左右されずに、店舗展開を進めたこともあって、売上は好調でここ5年間のCAGR(年平均成長率)は3.3%となっている。
対象的に、ハイブランド路線で勝負するのが、業界3位のパリミホールディングスだ。ただ、パリミキHDの業績は低迷を続けており、10年前に600億円を超えていた売上高は現在441億円(2022年3月期実績)まで落ち込んだ。かつては業界1位だったが、メガネトップにその座を奪われ、さらにはジンズHDにも抜かれ、年を追うごとに両社の背中は遠くなる。パリミキHDでは現在、郊外店を中心に約100店舗の撤退計画を推進中だ。
新興勢力も台頭!
現在、メガネトップの国内店舗数は1000店舗超、2位のジンズHDは446店舗となっている。国内マーケットを席巻するには、売上高1000億円の突破が目標になるだろうか。
メガネ小売市場はトップ2社が3位以下に大きく差をつけている構図だが、安閑としてはいられない。グローバル化されたビジネス環境では、勢力図が一気に塗り替わることもありうる。アパレル業界では、一世を風靡した「CECIL McBEE(セシルマクビー)」はファストファッションの台頭によってあっという間にその座を奪われた。
またOWNDAYS(東京都)のようにグローバル展開とM&A戦略で成長を続ける新興勢力も台頭している。
ここ数年は大きなニュースのないメガネ専門店業界だが、競争環境が変化すれば大きな統合の可能性も浮上してくるかもしれない。