ファミリー向け室内遊園地は「子どもの多い国」で再成長=イオンファンタジー社長 土谷美津子

聞き手:大木戸 歩
フードマーケット・クリエイティブ:太田 美和子
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郊外型SCを中心に出店 都市型小型店も開発

──イオンは今後、高い成長力を持つ中国事業に注力していく方針です。イオンファンタジーは中国市場でどのような出店戦略をお持ちですか。

土谷 中国では大人向けのゲームセンターは法規上、外資100%で法人化することは困難です。イオンファンタジー北京は、日本と同様に子どもの健全な育成を基本コンセプトとしており、多くのお客さまにご支持いただき、イオンファンタジーの100%子会社として運営しています。

 出店戦略としては、中国全域の中でもいくつかの地域への集中出店を考えています。ひとつは北京・天津をはじめとする北部地域。そして広州・深圳(シンセン)をはじめとする華南地域です。これはイオンの出店戦略と合致しています。さらにまだ出店していませんが、遼寧省への出店を考えています。

 時間消費型の大型SCの出店が加速している地域は、当社にとって非常に魅力的です。遼寧省瀋陽には現在、大型SCが次々に開発されています。イオンのSCに限定せず、こうしたSC内にも出店し、各エリアで5~10店舗以上のドミナントをつくっていきたいと考えています。

──沿海部の中でも上海は商業施設の開発が目立つエリアです。上海へは出店しないのですか。

土谷 上海中心部は発展し過ぎており、近隣からの来店が中心で、滞在型の施設は難しいと考えています。今まさに大型SCを郊外に開発中の都市が、当社の出店先としては魅力的です。

 親は小さい子どもを時間消費型の大型SCに連れていきたい。そこでカギとなるのはクルマです。

 どの国でも同じですが、小さな子どもを連れて外出するなら、クルマが停められる郊外の大型SCが便利です。中国だけでなくマレーシアやタイでも、女性の就労率が高く、家庭で調理する文化があまりありません。そのため、フードコートが充実していることはSCの集客要件になります。当社はそのようなSCを選んで出店していきます。中国とマレーシアでは、郊外店舗の面積は約300坪で、土日の来店客数は平日の5倍から6倍です。

 一方で、都心の商業施設内にも出店しています。都心の店舗は、面積が100~150坪とコンパクトです。近所に住む小学生ぐらいのお子さまが歩いてやってきますので、平日と土日の客数に差があまりありません。

──一方でマレーシアやタイではどのような出店戦略をとっているのですか。

土谷 マレーシア、タイにおいても、中国と同様にSC内に出店していきます。

 中国でも東南アジアでも子どもに特化した室内遊園地は非常にめずらしい業態です。そのためSCのデベロッパーから非常に多くの出店要請をいただきます。たとえば、中国では今期、約20店の出店を予定しています。そのほとんどがイオングループ以外のSCへの出店です。

 もちろん、イオングループの出店時にはできる限り出していきます。しかし、SMやGMSと比べ規模の小さな専門店としてドミナントを築くためには、たとえばイオンのモールが2カ所できる間に、私たちはその周辺に5店舗程度は出店する必要があります。当社の場合は“箱モノ”があれば、どこへでも出ていける。そういう意味では、早いテンポで出店することが可能ですね。

 中国ではすでにイオンのSCと同じエリアにある他社のSCに出店したケースがあります。しかし、人口密度が非常に高いエリアに出店していますので、一般に想像されるように競合することはありません。

 タイでは地元の大型SCに出店する際に、独自のルート以外に、イオンタイランドがテナントとして入居している商業施設のデベロッパーを紹介してもらうケースもあり、グループ各社とも協力しながら出店しています。

イオンファンタジー

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