再び2012年も節電需要が大きなトレンドに=アイリスオーヤマ 大山 健太郎 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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LEDが絶好調!

──10年7月に単行本『ピンチはビッグチャンス』(ダイヤモンド社刊)を上梓しています。46年間の社長業を振り返ったときにアイリスオーヤマはピンチがあった翌年には常に大きく飛躍発展してきた。そのことが単行本のタイトルになっています。

大山 まさか、発刊8カ月後にこんなピンチの状況が訪れるとは夢にも思っていませんでした。そして、今回の大災害でも「ピンチはビッグチャンス」を体現しました。

 とくに春以降は、節電需要に対して積極的に商品開発を行いました。その代表格は、空気をかき回して室内温度のムラをなくすサーキュレーターで年間100万台のペースで販売しています。一昨年から注力してきたLED(発光ダイオード)照明も好調です。11年3月末の段階で中国の大連工場に飛び、増産計画を立てるなど迅速に対応したからです。

 その結果、アイリスオーヤマの11年度の売上高は1000億円(対前年度比17.8%増)を達成することができました。営業利益高は92億円(同34.1%増)と過去最高の数字を達成しています。経常利益高は、29年来の株安による評価損、東日本大震災の特別損失などがあったために残念ながら対前年度比ではマイナスになってしまいました。

──すでに12年度に入ってから丸3カ月が経過しています。これから、消費はどんな動きを見せると考えていますか?

大山 まず、11年度以上に節電需要が大きなトレンドになると予想しています。全国規模で原子力発電所が再稼働できない状況が続く中では仕方のないことであり、電気料金もあがると予想できます。

 また、市場規模はそれほど大きくはありませんが、防災需要も確実に拡大するものと考えられます。

──その中で、LEDは国内家庭用電球では個数(家庭用)ベースで約20%のシェアを獲得し、ナンバーワンのシェアを握るに至っています。また、チェーンストア企業を中心にたくさんの店舗や事業所でアイリスオーヤマのLEDが導入されています。

大山 照明業界全体で年間2000万球と言われているLED市場ですが、アイリスオーヤマ1社で年間1200万球の生産体制を整えています。「家、まるごと、LED」をキャッチフレーズにして1万2000店舗の店頭で訴求しています。今年、とくに期待しているのは家庭用の「LEDシーリングライト」です。

 一方、オフィスや店舗の需要に向けては直管形LEDを月産100万本体制に切り替えています。11年4月には米国ゼネラル・エレクトリック社との販売契約を締結し、5月からは同社製品を「エコルクス プロ」シリーズのラインアップに加え、販売をスタートさせています。

 11年3月の段階でカタログに掲載されていたLEDは200アイテムに過ぎませんでしたが、11年の9月には1200アイテムを揃えるに至り、現在はさらに2600アイテムになっています。

 発光効率も従来の80lm/wから100lm/wに改善することができています。また、演色性についてもまったく問題のないレベルになっています。量産効果によって、コスト削減を図ることもできています。

 この結果、さらなる高性能とリーズナブルプライスを実現できるようになっていますので店舗や事業所などの法人需要はさらに動きが大きくなるものと考えられます。実際に多くの注文が殺到しており、生産が間に合わず、即納できないような状態が続いています。

 そして、今年はLED照明だけで売上高350億円を達成したいと考えています。実に11年度の3.5倍の数字になります。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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