最大の経営課題は人材育成!持株会社移行で事業展開を機動的に=フレッセイHD植木威行社長
2015年2月期までに10店舗を新規出店
──連取店のオープンから2カ月が経過しました。業績はどのように推移していますか。
植木 おかげさまで売上は好調です。初年度の年商は17億円以上を達成することができそうです。
多店舗展開モデルの成否については、1月に最終的な検証を行って「いける」と判断しました。当社の標準的な投資回収の基準に合致するレベルの収益構造になるというのがその理由です。今後は「クラシーズ」業態を中心に出店していきます。
──今後の出店戦略について教えてください。
植木 「クラシーズ」業態を確立できるめどがついたことで、新規出店はこれまでの1年間に2店舗のペースから3年間で10店舗ほどに速めることができると考えています。15年2月期までに10店舗を新規出店することを計画しています。なお、この3月23日には「クラシーズ」2号店を群馬県大泉町に出店します。
──「クラシーズ」は600坪クラスです。小型店の出店は考えていますか。
植木 まだまだ検討段階ではありますが、市街地や過疎地へ小型店を出店することはあり得ます。
というのも、本部に隣接するプロセスセンター(PC)を今秋に大改装することが決まっていて、13年から稼働を開始する予定です。現在は、水産と畜産の2つの部門の商品をメーンに加工していますが、改装後は青果と総菜部門の商品の加工も行えるようにします。
このPCを活用することで、小型店の出店が可能になります。店内加工の作業を減らして運営コストを低減すれば、不動産コストが比較的高くつく市街地や、高い売上が望めない過疎地への出店ができるようになると考えているからです。
当社の店舗の中には小型の不採算店舗が少なからずありますので、13年以降、生鮮食品や総菜の商品をPCからの供給に切り替えて、店舗モデルを確立したいと思います。
──現在、群馬県、栃木県、埼玉県の3県に店舗を展開しています。今後、新規出店するのはどのエリアになりますか?
植木 まずは現在の店舗展開エリア内の店舗密度を高めていきます。新規出店案件は、フレッセイHDの役員会で決めますので、物件によっては未進出のエリアに出店することもないとは言えませんが、基本はドミナント化を進めていく方針です。
店長候補の育成が課題 人材育成が未来決める
──最後に、現在の経営課題について教えてください。
植木 2つあります。
1つは店長候補の人材の育成です。
当社では12年からの5年間に多くの管理職が定年を迎えます。ちょうど50歳代後半の優秀なベテラン店長が退職し、次の世代に入れ替わる時期に差し掛かっています。
従業員の定年は「すでに起こった未来」ですから、先ほど述べた新規出店のペースと照合すれば新店長が何人必要になるのかは計算できます。当社は店長候補の人材育成を急がなくてはなりません。これが最大の経営課題です。
この3年間に、どれだけの人材を育成できるかで、当社の未来が決まってくると言っても過言ではありません。店長候補の人材の教育で大きく失敗し、店舗の力を落としてしまえば、再び同じレベルまで引き上げるには長い時間を要します。
そういった意味で、この3?5年間に、人事と教育の仕組みとその運用方法を確立できるかが10年後の当社の盛衰を決めると断言できます。
もう1つは、各事業会社がグループ内だけではなく、外部からの仕事を受注できるようにし、自立を促していくことです。グループ内で仕事を回しているだけでは、早晩、事業は立ち行かなくなると考えています。グループ外から仕事を受注できるような力量がないと今後は勝ち残ることが難しいでしょう。
先ほどPCの大改装について述べましたが、実はPCを事業会社化する予定です。SM事業会社のフレッセイだけでなく、同じCGCグループ(東京都/堀内淳弘代表)加盟のSM企業さんにも商品を供給していくことを検討しています。