「良品廉価」「戦いを楽しむ集団づくり」を実践、売る力を育成する=ウオロク 葛見久則 社長

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
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──競争に勝つ強い店づくりを推進していくために、どのようなことに取り組んでいきますか?

葛見 個々の店舗、個々の売場がそれぞれ力を持っていなければ、競争に勝つことはできません。やはり、それぞれの売場で“売る力”をつけていくということがいちばん重要になります。そのためには、人的資源に依拠する部分が大きいと考えますので、店長や主任など各人の“売る力”をさらに高めるために、あらためて教育をやり直していきます。

 

──“売る力”を身につけるための教育とは、具体的にはどのような内容なのでしょうか?

葛見 当社の成功事例を社員に解説して、その売場づくりを水平展開する形式です。これを継続することで、考える力も応用力もついてくると思います。なお、“売る力”のベースとなる考え方は、単品の販売力をつけることにあります。

催事に強い売場づくりもウオロクの特徴だ
取材日は、節分を控えており、売場は節分提案一色。催事に強い売場づくりもウオロクの特徴だ

 また、私が社長に就任してから始めた施策としては“一押し一品”という販促取り組みがあります。これはカテゴリーごとに商品を決めて、それを最大限売り込んでいくものです。売場間、店舗間で競争して、優秀な店舗や売場にはインセンティブも出しています。結果、従業員のモチベーションを高めることにつながっています。このように、社内の“売る力”を育成するための仕掛けをいろいろやり続けて、人材育成していきたいと考えています。

──個々の“売る力”を強化することは大事です。しかし、組織としての営業力を強化することも大事ではないですか。

葛見 実はこの3月から、営業力を上げていくために組織を一部変更します。全31店舗を3地区に分けて、それぞれ地区長を任命し、店舗のマネジメントと教育を強化するねらいです。

 当社は元々、個店ごとにいかに利益を出すのかを重視しており、売価決定権や品揃えの基本方針決定権など、店長にかなりの権限を持たせています。そうした中で、お店の経営という観点から、商品政策(MD)や人事、経費コントロールを行い、単店でどう利益を出すのかということを考えて実行できる人材が少しずつ育ってきました。

 今回そうしたことができる人材に地区長を担当してもらい、その部下に当たる店長の教育を行うことで、さらなる人材育成に努めたいと思っています。

年商1000億円態勢に向けて動く、物流・出店戦略

──ところで、現在のプロトタイプ店舗はどのようなフォーマットですか?

SuC新津店
売場面積4500坪のSuC新津店は、食品だけで50億円以上を売り上げる旗艦店舗だ

葛見 当社の場合は、売場面積4500坪のSuCから実験中の小型店フォーマットの150坪までばらばらです。ただ、基本的には売場面積600坪前後のスーパースーパーマーケット(SSM)の周囲に数店舗のテナントを集めて、NSC(近隣型ショッピングセンター)を形成するのが理想的で、それをベースにしたいと考えています。現状では、売場面積600坪前後の店がいちばん多く10店舗以上あり、収益力もいちばん高いです。

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聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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